
建設業許可取得に必要な学歴・実務経験・資格を行政書士が詳しく解説
2024年12月の建設業法施行規則改正により、従来「専任技術者」と呼ばれていた制度は、法令上「営業所技術者」へと名称変更されました。
もっとも、実務の現場や申請書類の説明では、現在も「専任技術者」という呼称が広く使われており、当面は両者を同義として理解して差し支えありません。
建設業許可の取得において、この営業所技術者(専任技術者)の要件を満たしているかどうかは、最も重要な審査ポイントの一つです。
特に管工事業は専門性が高く、「どの学歴・資格・経験が使えるのか分かりにくい」「過去の経験が認められるか不安」というご相談が非常に多い業種でもあります。
本記事では、一般建設業の管工事業許可を前提として、営業所技術者として認められるための要件を、
- 学歴
- 実務経験
- 国家資格
の3つの観点から、行政書士の実務目線で分かりやすく解説します。
営業所技術者(専任技術者)とは?
営業所技術者とは、営業所ごとに専任で配置が義務付けられる技術者のことを指します。単に名義を置くだけでは足りず、以下の点が求められます。
- 常勤性があること(原則フルタイム)
- 技術的な判断・管理ができる立場にあること
- 他社や他営業所との兼務が原則できないこと
つまり、「その営業所で実質的に管工事の技術を担っている人」である必要があります。
一般建設業・管工事業で認められる3つの要件
一般建設業の管工事業において、営業所技術者として認められるためには、次の①〜③のいずれかを満たす必要があります。
① 指定学科卒業+一定年数の実務経験
管工事業では、以下の学科が指定学科として手引きに例示されています。
- 土木工学
- 建築学
- 機械工学
- 都市工学
- 衛生工学
(これらに準ずる学科を含む)
これらの指定学科を卒業している場合、必要な実務経験年数は以下のとおりです。
- 高校卒業:管工事の実務経験 5年以上
- 大学・高専卒業:管工事の実務経験 3年以上
「指定学科に準ずる」とは?
学科名が完全に一致していなくても、
- 履修科目
- シラバス
- 成績証明書
などから、管工事と密接に関連する内容を学んでいると認められれば、指定学科扱いとなる可能性があります。判断が微妙なケースでは、事前に管轄の建設事務所へ確認することが重要です。
② 学歴不問:10年以上の実務経験
学歴に関係なく、管工事に関する実務経験が10年以上あれば、営業所技術者として認められます。ここでいう「実務経験」とは、単なる現場作業だけでなく、以下のような業務を含みます。
- 配管工事・空調設備工事・給排水設備工事の施工
- 工程管理・品質管理・安全管理
- 現場代理人・職長としての業務
会社員だけでなく、個人事業主や一人親方としての経験も、適切に証明できれば実務経験として認められます。
③ 国家資格等を保有している場合
一定の国家資格を保有している場合、実務経験年数が短縮、または不要となるケースがあります。
技術検定(施工管理技士)
- 1級管工事施工管理技士
- 2級管工事施工管理技士
技術士(技術士法)
- 技術士(機械部門:流体工学・熱工学)
- 技術士(上下水道部門)
- 技術士(衛生工学部門)
- 総合技術監理部門(上記に対応するもの)
技能士(技能検定)
- 冷凍空気調和機器施工技能士
- 空気調和設備配管技能士
- 給排水衛生設備配管技能士
- 配管技能士(建築配管作業)
- 建築板金技能士(ダクト板金作業)
※原則
- 1級:実務経験不要
- 2級:実務経験3年以上
その他の国家資格
- 給水装置工事主任技術者(実務経験1年以上)
- 建築設備士(実務経験1年以上)
- 計装士(実務経験1年以上)
資格の種類によって扱いが異なるため、必ず最新の手引きで確認することが重要です。
実務経験の証明方法と注意点
実務経験による申請を行う場合、「どのように証明するか」が審査の成否を左右します。主に以下の資料の情報をもとに申請します。
- 工事請負契約書・注文書・請求書
- 工事写真、施工台帳、作業日報
- 健康保険・雇用保険の加入履歴
- 確定申告書、帳簿類(個人事業主・一人親方)
※:愛知県の場合は、これらの資料を申請時に添付する必要は原則ありませんが、申請内容が疑わしい場合は提出を求められる場合があります。この場合1つの資料だけでは足りないケースもあり、複数の資料を組み合わせて実態を立証できるようにしておくことが実務上は重要です。
よくある注意点(不許可になりやすいポイント)
兼務は原則不可
営業所技術者は原則として一社専任です。他社で役員・技術者・個人事業を行っている場合、要件を満たさないと判断される可能性があります。
役員でも就任可能
代表取締役や取締役であっても、実際に技術的業務に従事していることが確認できれば営業所技術者になることは可能です。
資格か経験かの選択が重要
「資格はあるが経験証明が弱い」「経験はあるが書類が足りない」など、状況によって最適な申請方法は異なります。
まとめ|管工事業の許可は営業所技術者の整理がカギ
管工事業の建設業許可において、営業所技術者(専任技術者)の要件確認と証明は、許可取得の成否を左右する最重要ポイントです。自己判断で進めた結果、「経験が認められない」「書類が足りない」となり、申請が長期化するケースも少なくありません。
- 自社の人材で要件を満たせるか確認したい
- 実務経験の整理・証明方法に不安がある
- スムーズに許可を取得したい
このようなお悩みがある事業者様は、建設業許可を専門に扱う行政書士へ早めに相談することをおすすめします。当事務所では、初回の営業所技術者要件確認は無料で対応しております。お気軽にお問い合わせください。
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