
はじめに
「専任技術者の要件が緩和された」というニュースを聞いて、安心していませんか?
実は、緩和されたからこそ、ライバル他社による「有資格者の引き抜き」や、社内での「誰かが辞めても代わりがいるだろう」という経営層の油断が生まれています。
もし明日、御社の専任技術者が突然退職したら、どの現場が止まり、いくらの売上が消えるか。社長に聞かれて即答できますか? 私は工作機械商社出身の行政書士として、現場の「有資格者」が許可を支える重要性を知っています。事務担当者のあなたが「知らなかった」で責任を追及されないための、攻めと守りの戦略をお伝えします。
1. 機械器具設置工事業とは?建設業許可に必要な専任技術者要件
機械器具設置工事業は、プラント設備や産業機械の据付などを行う専門工事業種です。建設業許可を取得するためには、営業所ごとに「営業所技術者(旧称:専任技術者、こちらのほうがまだ現場では一般的な名称なので本記事でもこちらを使っています。)」を配置する必要があります。従来は以下の要件が求められていました:
- 大学・短大・高専の指定学科卒+3年以上の実務経験
- 高校の指定学科卒+5年以上の実務経験
- 指定学科以外の場合は10年以上の実務経験
機械器具設置工事業では他業種と違い技能検定等の許可取得のために比較的使いやすい資格要件が従来は無く、この厳しい条件が、中小企業にとって建設業許可取得の大きなハードルでした。
2. 令和5年改正で専任技術者要件が緩和!施工管理技士・技士補の活用
令和5年7月1日から、建設業法改正により専任技術者の要件が緩和されました。
ポイントは次のとおりです:
- 一級施工管理技士第一次検定合格者(技士補) → 合格後 3年の実務経験
- 二級施工管理技士第一次検定合格者(技士補) → 合格後 5年の実務経験
「技士補」も要件に追加されたことにより、指定学科卒でなくても、施工管理技士第一次検定に合格すれば、比較的短期間で専任技術者になれるようになりました。
「10年実務」を待つ必要はもうありません
従来の「実務経験10年」という高い壁は、中小企業にとって「一人辞めたら終わり」という恐怖でした。しかし、令和5年の改正で「技士補(1級・2級施工管理技士の一次合格)」が要件に加わったことで、「若手を最短3〜5年で許可の柱に育てる」という戦略が可能になりました。
3. 専任技術者の資格要件と実務経験年数の比較表
| 区分 | 従来要件 | 改正後要件 |
|---|---|---|
| 指定学科(大学等) | 実務3年 | 実務3年 |
| 指定学科(高校) | 実務5年 | 実務5年 |
| 指定学科以外 | 実務10年 | 実務10年 |
| 技士補(一級) | 該当なし | 合格+実務3年 |
| 技士補(二級) | 該当なし | 合格+実務5年 |
4. 改正で中小企業が得られるメリットとは?
- 人材確保が容易に
施工管理技士第一次検定合格者を専任技術者に育成可能。 - 育成コスト削減
10年経験者を探すより、資格取得+実務経験モデルが効率的。 - 許可維持の柔軟性
将来の人材不足に備え、自社内で技術者を育成できる。
5. 建設業許可取得のために今すぐできる準備
- 資格取得支援制度の導入
施工管理技士第一次検定合格を目指す社員をサポート。 - 育成ロードマップの策定
「技士補+実務経験」で専任技術者を確保する計画を立てる。 - 専門家への相談
許可申請や人材育成の戦略を行政書士に相談する。
専任技術者の離脱は事業停止に直結します
専任技術者(営業所技術者)の要件は調べている。でも、「誰が」「どの業種を」「いつまで支えているか」会社として整理されていますか?
もし、今いる専任技術者が突然いなくなった場合、”どの営業所”の”どの工事”が止まり、”どの業種の許可”が維持できないか。社長や事務管理部門が即答できない状態は、実はかなりリスクが高いです。もし、その時になって
「(この前ネットで調べてて)知っていたのに、このリスクに何でその時気づかなかったんだ!」
と事務担当者様が言われないために、専任技術者の状況については少なくとも年に一回は、会社として棚卸をして見える化しておくことをお勧めします。
【ご注意】当ホームページの内容は、建設業法等に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件に対する法的判断を示すものではありません。実際の許可要否や手続きについては、管轄行政庁に確認するか、当事務所までお問い合わせください。
投稿者プロフィール

- (株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
- 自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。







