はじめに

エアコンや空調機器の設置工事を行う事業者にとって、「建設業許可が必要なのか?」という疑問は非常に重要です。特に、工事の規模が大きくなり、請負金額が税込500万円以上の案件を受注する場合には、建設業法に基づく許可が必要になります。

この記事では、エアコン・空調機器の設置に関する建設業許可の種類や要件、注意点についてわかりやすく解説します。


エアコン設置工事は「管工事業」に該当

建設業法では、建設工事を「一式工事」と「専門工事」に分類しており、専門工事は29業種に分かれています。その中で、エアコンや空調機器の設置工事は「管工事業」に該当します。

管工事とは、冷暖房、空気調和、給排水、衛生設備などのための設備を設置する工事を指します。エアコンの設置は、冷暖房設備工事や空調設備調和工事、ダクト工事などに分類されるため、管工事業の許可が必要です。

電気工事業の登録も必要?

エアコン設置には、電気工事を伴う場合が多くあります。そのため、電気工事業の登録も必要になるケースがあります。(どこまでの範囲を施工するかによるのですべてのエアコン設置に必要なわけではありません)

ちなみに愛知県の場合は、「電気工事業に関するよくある質問集(愛知県防災安全局防災部消防保安課産業保安室が作成、以下「質問集」)」に以下のような案内が出ています。

2 エアコンの設置工事(移設工事・撤去工事)を行うためには登録が必要ですか?

回答 登録が必要です。 標準的なエアコンの設置工事としては、以下の作業があげられます。
①エアコン室外機の設置
②室内機と室外機をつなぐ内外接続線に関連する作業
③接地線に関連する作業
④冷媒配管の接続
⑤ドレインホースの接続
⑥室内機の壁への固定
このうち、①及び④~⑥については、「電気工事」には該当しないため、電気工事士の資格は不要、電気工事業の登録は不要です。②及び③は「電気工事」に該当します。作業内容によって、電気工事業の登録必要なもの、不要なもの、電気工事士の資格が必要なものと不要なものがありますが、エアコン設置工事(移設・撤去工事)の施工は通常1名で行うものであり、①~⑥の一連の作業を一貫して行うため、一般的にエアコン設置工事を行うためには登録が必要です。

電気工事業の登録要否については同じく質問集に掲載されています。(長いので閲覧する場合は右のVをクリックして展開してください。)

1  電気工事業登録の必要のない場合はありますか?

回答  以下①~⑥の事例に当てはまる場合は登録の必要はありません。
① 電気工事業法の規制を受けない電気工事のみを行う場合(具体的には次のとおり)。
・ 「発電所、変電所、大 500kw 以上の需要設備など」の自家用電気工作物に係る電気工事、「電気事業の用に供する電気工作物(電力会社等の電力供給設備)」に係る電気工事)のみを行う場合。
② 他者から依頼を受けないで電気工事を行う場合、又は試験的

・一時的に電気工事を行う場合(具体的には次のとおり)。
・電気工事士免状を有する者がたまたま自宅の電気工事を行う場合
・ビル管理業者がそのビルの管理の必要上当該ビル内の電気工事を自らが反復・継続して行う場合(他の者から依頼を受けて電気工事を行う部分があれば電気工事業に該当する。)
・他の業をもつ者がたまたま 1 回限り電気工事を行う場合

③ 請け負った電気工事の施工をすべて他のものに下請させて、自らその電気工事を行わない場合。ただし、一度でも自らが電気工事に該当する作業を行うことがあるのであれば、電気工事業の登録等が必要。

④ 家電機器販売業者が家電機器の販売に附随して自ら電気工事を行う場合
電気工事業の登録を受けていない家電機器販売業者が販売に付随して認められている電気工事の範囲は、使用電圧が 200V 以上のものを除くテレビや洗濯機用のコンセントを設ける等の局部的な工事で、電気工事士がその作業に従事する場合に限る。
【参考:ただし、次の場合は電気工事業の登録が必要です】
ア 幹線に係る工事、分岐回路の増設工事、分岐回路に設置されている分岐過電流保護器の容
量変更を伴う工事あるいは屋側配線又は屋外配線に係る工事を行う場合
イ 家電機器販売業者が、太陽電池発電パネル設置にかかる電気工事を行う場合
(家電機器の販売に附随して自ら電気工事を行う場合には該当しないため)
ウ 家電機器販売業者等から依頼を受けて電気工事を行う場合
(受託して電気工事を行うのは電気工事業に該当するため登録が必要)

⑤ 電気工事士免状を有する者が、登録電気工事業者(電気工事を請け負った者)のもとで工事の一部を手伝う(日雇い等)場合
※登録電気工事業者(電気工事を請け負った者)から、工事の一部又は全部の施工の委託を受けた場合(下請けとなった場合)は、登録が必要。

⑥ 電気工事に該当しない以下の6つの軽微な工事のみを行う場合
・電圧 600V 以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧 600V 以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
・電圧 600V 以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧 600V 以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
・電圧 600V 以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧 600V 以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
・電圧 600V 以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
・電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が 36V 以下のものに限る。)の二次側の配線工事
・電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
・地中電線用の暗渠又は管を設置し、又は変更する工事


(参考)電気工事士法施行規則に軽微な作業があります。軽微な作業に該当する場合は、電気工事士が直接作業しなくてもよいですが、電気工事に該当するため電気工事業の登録が必要です。電気工事士法施行規則(抜粋)

(軽微な作業)
第二条  法第三条第一項の自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
 次に掲げる作業以外の作業
イ  電線相互を接続する作業(電気さく(定格一次電圧三百ボルト以下であつて感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)
ロ  がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。ハ、ニ及びチにおいて同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
ハ  電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
ニ  電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
ホ  配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
ヘ  電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
ト  金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
チ  電線、電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
リ  金属製の電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
ヌ  配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
ル  接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち大 電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この
条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
ヲ  電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業

 第一種電気工事士が従事する前号イからヲまでに掲げる作業を補助する作業

 法第三条第二項の一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
 次に掲げる作業以外の作業
イ  前項第一号イからヌまで及びヲに掲げる作業
ロ  接地線を一般用電気工作物等(電圧六百ボルト以下で使用する電気機器を除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業

 電気工事士が従事する前号イ及びロに掲げる作業を補助する作業

なお、電気工事業の建設業許可をすでに取得している場合は「みなし登録電気工事業者」として届出を行うことで、電気工事業の登録が可能です。(建設業とは別の届出が必要になります)

Info

※空調工事では、「実際の施工内容」と「契約書・請求書上の工事内容」がズレやすく、許可業種との不整合が後から問題になるケースが少なくありません。
特に複数業種をまたぐ場合、現場任せ・営業任せにしていると管理部門が後でトラブルに巻き込まれます。

金額面で建設業許可が必要なケース

金額の観点から建設業許可が必要となるのは、以下のような場合です。

  • 1件の請負金額が500万円(税込)以上の工事
  • 材料費込みで500万円以上となる場合(材料支給でも市場価格を加算)

例えば、マンションやビル一棟とかワンフロアのエアコン設置工事などでは、部屋単位ではなく建物やフロア全体の金額で判断されるため、許可が必要になるケースが多くあります。

ここで一度確認してみてください

あなたは次のどちらに近いでしょうか?

  • A:今回だけ許可(登録)が取れればよい /「社内体制までは手が回らない」
  • B:今後も同種工事が続く / 元請の調査や行政の立ち入り検査で指摘されたくない / 「誰が・何を・どう管理するか」を整理したい

👉 Bに近い場合、許可・登録そのものよりも社内の管理体制・書類の取り回し方・役割分担が後で問題になるケースが非常に多いです。

建設業許可取得のメリット

管工事業の建設業許可を取得することで、以下のようなメリットがあります。

  • 500万円以上の工事を金額の心配なく請け負える
  • 元請業者や顧客からの信頼性向上
  • 公共工事の入札参加が可能
  • 金融機関からの融資が受けやすくなる

許可取得に必要な主な要件

建設業許可を取得するには、以下の5つの要件を満たす必要があります。

① 常勤役員等(旧称:経営業務の管理責任者/経管)

建設業の経営経験が5年以上ある者が必要です。個人事業主としての経験や、建設業許可業者の役員経験などが該当します。

② 営業所技術者(旧称:専任技術者)

国家資格(管工事施工管理技士など)を持つ者、または指定学科卒業+実務経験、10年以上の実務経験などが必要です。

管工事業の営業所技術者の営業所技術者(専任技術者)の要件についてはこちらの記事をご参考ください。(別の新しいタブが開きます)

③ 誠実性

過去に不正行為がなく、暴力団との関係がないこと。

④ 財産的基礎

自己資本が500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(≒現預金)があること。

⑤ 欠格要件

破産者で復権していない者や、過去に許可取消処分を受けた者などは対象外です。

許可取得の注意点

  • 電気工事業の許可と管工事業の許可は別物
  • エアコン工事を電気工事として申請すると、審査で否認される可能性あり
  • 実務経験の証明には契約書・請求書・入金記録などが必要

特に、過去に電気工事業としてエアコン工事を集計していた場合、管工事の実績として認められないことがあるため、注意が必要です。 また、実務経験だけで営業所技術者として登録する場合は、注意すべきことがあります。

空調工事を継続的に行う会社ほど、最初に整理すべきこと

・どの工事を、どの業種で管理するのか
・見積・契約・請求書の記載ルール
・許可・変更届・更新を誰が管理するか

これらを曖昧にしたまま拡大すると、監査・行政対応で必ず詰まります。許可取得の準備と並行してこれらもきちんと整理しておきましょう。

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