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この記事は「建設業許可を自分で取ろう」と考えている建設会社様向けに、実際の申請現場でよく起きている失敗・つまずきポイントをもとに書いています。

建設業を営むうえで「建設業許可」は避けて通れない重要な手続きです。しかし、許可取得の方法には大きく分けて 「自社で申請する」「行政書士に代行依頼する」 かの2つの選択肢があります。

どちらが良いのかは、会社の状況やリソースによって異なります。本記事では、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説し、最後にどちらがコストパフォーマンスに優れているかを考えてみたいと思います。

結論:建設業許可は「自分で取れる」けれど、想像以上に消耗します

ネットで調べると、

  • 「建設業許可は自分でも取れる」
  • 「書類を揃えればOK」

といった情報が出てきます。これは事実です。実際、セルフ申請で許可を取っている会社もあります。しかしながら、実務を見ている立場から正直に言うと、

「思ったよりも時間がかかり、途中で心が折れかける事業者様が非常に多い」

というのが現実です。

監理技術者になっていた前職の知り合いが転職し、転職先会社が自社で申請手続をしようとしたところ、半年以上経っても公的書類すら集まっておらず、「さっさと取りたいんだけど・・・」と、私宛に連絡をいただいたこともありました。


1. 建設業許可の基本と申請の流れ

建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負うために必要な許可で、国土交通省または都道府県知事が発行します。申請には以下のような要件があります。

  • 経営業務の管理責任者の設置
  • 営業所技術者(旧称:専任技術者の配置
  • 財産的基礎(500万円以上の資産)
  • 欠格要件に該当しないこと

申請書類は複雑で、決算書や登記簿謄本、工事経歴書など多数の添付書類が必要です。さらに、要件を満たしているかの確認や証明書類の収集に時間がかかります。


2. 自社で建設業許可を取得する場合のメリット・デメリット

メリット

  • コストを抑えられる
    行政書士に依頼する場合、報酬が発生します。自社で行えば、法定手数料のみで済むため、直接的な費用は安くなります。
  • 社内にノウハウが蓄積される
    一度経験すれば、更新や業種追加の際に自社で対応できる可能性が高まります。

デメリット

  • 膨大な時間と工数がかかる
    申請書類は複雑で、要件確認や証明書類の収集に多くの時間を要します。特に初めての場合、調べながら進めるため、数週間~数か月かかることもあります。
  • 不備による再提出リスク
    書類の不備や要件の誤解で、役所から補正指示が出ることがあります。再提出が続くと、工事受注のタイミングを逃す可能性も。
  • 担当者の負担が大きい
    現場管理や営業で忙しい中、法令や書類作成に時間を割くのは大きな負担です。また、役員の個人情報を知ることになるのでその点でも親族以外の担当者が対応するのは抵抗感があるケースも。

3. 行政書士に代行依頼する場合のメリット・デメリット

メリット

  • スピーディーで確実
    行政書士は専門家として、要件確認から書類作成までスムーズに対応します。不備による再提出リスクも大幅に減少します。
  • 本業に集中できる
    現場や営業に専念できるため、機会損失を防ぎ、売上アップにつながります。
  • 最新の法令に対応
    法改正や運用変更にも精通しているため、安心して任せられます。
  • 個人情報の取り扱いも安心
    国家資格として守秘義務を課せられている行政書士なら個人情報が記載された資料も安心して預けられます。

デメリット

  • 報酬が発生する
    代行費用は消費税と実費(郵便料金等)を含めて12万円~15万円程度が一般的です。初期コストとしては自社対応より高くなります。自社対応時でも必要となる証紙代や証明書発行費用等と合わせると総額で21万円~24万円程度になります。

4. 実際に多い「セルフ申請で苦労するポイント(体験ベース)」

① 書類同士の“微妙なズレ”で差し戻しになる

これは本当によくあります。

  • 経営業務管理責任者の「在籍期間」
  • 工事経歴書の内容
  • 確定申告書・決算書の数字

これらはそれぞれ単体では正しくても、横断的に見ると矛盾が出やすい

実際にあった例ですが、

  • 工事経歴書では「○年○月に開業」
  • 確定申告書では「別の時期から事業開始」
  • 役所の窓口で 「この期間、どちらが正しいんですか?」

と聞かれ、その場で答えられず、一度持ち帰り → 再訪問になりました。

当然のことなのでマニュアルには書いてありませんが、申請の受付窓口である建設事務所では書類間の「年月日等の時の経過」「経験年数、決算書金額などの数字」の整合性をかなり細かく見ています。

② 証明書類の「有効期限切れ」で地味に再取得・再提出

  • 登記簿謄本
  • 身分証明書
  • 納税証明書

これらは取得から3か月以内が原則。セルフ(自社)申請では、

  1. 書類を集める
  2. 不備が見つかる
  3. 修正している間に期限切れ

という地味にやる気をそがれるこのフローがよく起きます。

「たかが期限」と思っても、再取得 → 手数料 → 再訪問
ここで一気にモチベーションが下がる方が多いです。

③ 窓口担当から「それだと認められません」と言われ固まる

一番メンタルに来るのがこれです。

  • 「その工事内容だと、経験としては弱いですね」
  • 「この契約書だけだと判断できません」
  • 「補足資料を出してください」

☑︎ 何が足りないのか
☑︎ どこまで出せば足りるのか

手引きに書いてあるような基本的なことについてはその場で明確に教えてもらえないケースもありえます。


【要注意】セルフ申請でよくある3つの失敗

失敗①

「全部そろえたつもり」なのに追加資料を求められる

→ 結果:役所と何度も往復

失敗②

ネット情報を鵜呑みにして古い運用で進める

→ 結果:地域ルールに合わず差し戻し

失敗③

社長本人がすべてやろうとして本業が止まる

→ 結果:工事・営業に支障が出る


4. 結局どちらが良い?コストパフォーマンスで考える

一見すると「自社でやれば安い」と思いがちですが、実際には 担当者の人件費、調査時間、ミスによる再提出、機会損失 などの隠れたコストが発生します

例えば、担当者が20時間かけて調べながら申請書を作成した場合、その人件費が時給3,000円なら 60,000円。さらに、営業や現場対応が遅れたことで失注した案件があれば、その損失はもっと大きくなります。

また、片手間で対応できるものではなく、「まとめてやろう」と思っても時が過ぎて結局半年たっても書類集めもできてないという状況になりがちです。

一方、行政書士に依頼すれば、報酬は発生しますが、 短期間で確実に許可取得が可能 です。結果として、時間と工数を削減でき、トータルで見ればコストパフォーマンスは高くなるケースがほとんどです。

自分でやる vs 行政書士に頼む【リアルな比較】

項目セルフ(自社)行政書士
費用数万円だいたい税別10万円~
時間数十時間〜ほぼ最小限
精神的負担高いほぼなし
差し戻しリスク高め低い

時間とストレスをお金で買うかどうか、それが本質です。

【参考】セルフ申請に向いている人・向いていない人
判断項目セルフ(自社)申請向き外部(行政書士)委託向き
時間平日に数十時間取れる平日は現場・営業で手一杯
期限急がない1か月以内に許可が必要
書類作成得意・苦にならないとにかく苦手
考え方1円でも安くしたい本業に集中したい

正直に言うと、「できるか・できないか」より「やる価値があるか」で判断すべきです。


まとめ:専門家に任せることで「安心・確実・効率的」

建設業許可は、会社の成長に直結する重要な手続きです。自社で対応する選択肢もありますが、時間・労力・リスクを考えると、専門家である行政書士に依頼する方が 安心・確実・効率的 です。

「許可取得に時間を取られて営業や現場が疎かになる」→「大型案件の受注機会を逃し続ける

――そんな状況を避けるためにも、ぜひ行政書士への依頼をご検討ください。結果的に、コストパフォーマンスの高い選択 になるはずです。

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投稿者プロフィール

古井 竜文(たつのり)
古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。