設備系(空調・衛生・電気・機械器具設置)建設工事会社の皆様へ

撤去工事は、現場的には「外して終わり」に見えますが、契約上は“工事の一部”として扱われ、許可業種・安全・廃棄物・記録の整備・保管等の残し方で後から揉めやすい領域です。
元請会社や発注者からは「撤去も含めて一式で」と言われやすく、見積・契約・請求の書き方が曖昧なまま進めると、許可や実務経験の部分で悩ましい状況に陥ることがあります。

この記事では、撤去工事について

  • 「撤去=解体」と短絡しないための判断軸
  • 設備工事で多い “付帯撤去” と “撤去単独” の分かれ目
  • 受注者側となる事業者様の管理部門が押さえるべき 契約・証憑(エビデンス)整理

を、工作機械商社出身の行政書士が実務のチェックポイントとしてまとめます。

💡 愛知県の建設業者様 限定

「元請けに許可を取れと言われたけど、うちの工事はどの業種になるの?」

建設業許可は都道府県によって審査のローカルルールが異なります。 愛知県(知事許可)の審査基準を知り尽くした当事務所が、お手持ちの資格や過去の請求書から「許可が取れるか?」を最短10分で無料診断いたします。※対応エリア:愛知県全域(名古屋市・三河・尾張エリアなど)

メールやWebフォームでのお問い合わせをご希望の方はこちらの問い合わせフォームよりご連絡ください。お電話の場合は(0566-70-7195)までお願いいたします。


はじめに|必ずしも「撤去=解体」ではない

結論から言うと、いわゆる「撤去工事」といわれる作業に必要な建設業許可は 一律ではありません。撤去の対象・工事目的・方法・主要構造部への影響・請負金額・契約上の位置づけによって、必要な許可業種は変わります。

まず押さえておくべき要点は次の3つです。

  1. 更新・新設に付帯する撤去は、原則として「その設備を設置する工種」の許可の範囲があればよいと判断されることが多い
  2. 建物本体や主要構造部の解体が主目的になると、解体工事業の領域に近づく(安全・廃棄物体制も別物)
  3. 金額が500万円未満でも、発注者条件・追加工事・周辺法令で、許可・体制整備が実務上“必須”になる場面がある

1. まず入口|「許可が必要になる金額」と、一次下請けでの落とし穴

一般に、請負金額が 税込500万円以上 の工事を請け負う場合、建設業許可が必要になります。一方、500万円未満は「軽微な工事」として許可不要の範囲に入ることがあります。

ただし撤去は、金額だけで判断すると危険です。

  • 撤去は追加工事が発生しやすい(撤去して初めて分かる埋設配管・腐食・干渉)
  • 「撤去一式」扱いで、本体工事と合算して500万円を超えることがある
  • 元請が「事業者選定条件」に”許可の有無”を入れていると、許可がないだけで失注する
Warning

「今回は500万円未満だからOK」ではなく、同種工事を反復継続して請け負う可能性があるか追加工事で500万円以上になる可能性があるかをセットで見てください。撤去案件は様々な業務が追加され“積み上がる”ことが多い工事です。


2. 撤去の基本の考え方を整理|「付帯工事」なら、どの業種で考える?

2-1. 原則:撤去対象を“設置するときの工種”で整理する(付帯撤去)

設備系一次下請けで多い撤去は、たとえば次のイメージです。いずれの場合も撤去のみでは無く、更新・入替と一体であることが前提です。

  • 空調設備(冷媒配管・ドレン・ダクト・室内外機)の撤去
    → 原則「管工事業」側で整理されやすい
  • 電源・制御配線・盤改造・接地などの撤去
    → 原則「電気工事業」側で整理されやすい
  • 衛生器具・給排水配管の撤去
    → 原則「管工事業」側で整理されやすい

ここで大事なのは、撤去が “目的ではなく手段” になっていることです。つまり、更新・新設・改修の目的を達成するために不可欠な撤去であれば、付帯として解釈される可能性が高い、という整理です。

2-2. 付帯の範囲を超えやすい典型

次のような場合、撤去が「付帯」ではなく “撤去が主目的の工事” と評価されやすくなります。

  • 更新・新設がなく、撤去だけを単独で請けている(原状回復、撤去のみ発注)
  • 見積・契約が 「撤去一式」 で、工事目的や撤去の後にどうなってるのかが読み取れない
  • 切断・斫り・躯体への影響など、工法が“解体寄り”になっている
  • 廃棄物処理・石綿・フロン等、多くの周辺法令対応が必要で体制として解体工事に近い
Warning

発注者から「撤去もやって」と言われたとき、“撤去が主目的になっていないか”を、契約書と見積内訳で必ず確認してください。ここが曖昧だと、後で「許可の整理」「安全」「産廃」で責任を押し付けられがちです。


3. 「解体工事業」の領域に入ってくるのはどこから?

3-1. 解体工事業が強く意識される典型

一般に、次のような工事は、解体工事業としての体制(安全・廃棄物・工程)が求められやすい領域です。

  • 一棟の建物の全部解体
  • 主要構造部(柱・梁・床・壁等)の解体を含む工事
  • 大型工作物・構造物の解体が主体の工事

設備撤去でも、条件次第で境界にかかります。

3-2. 設備系の工事で“境界になりやすい”具体例

  • 屋上機器架台の切断・撤去
    機器撤去(管・電気の付帯)に見えても、架台切断・アンカー撤去・防水層補修まで含むと、どの工種で判断すべきかが難しくなることがあります。
  • 設備基礎(コンクリート)の斫り撤去
    配管や機器の撤去だけのつもりが、基礎撤去の規模・工法次第で、解体/土木側の該非確認が必要になることがあります。
  • スケルトン化に近い撤去(天井・壁・床を大きく撤去)
    設備更新の付帯に見えても、内装撤去が主目的に近くなると、判断基準が変わり得ます。

判断軸は2つだけ
主要構造部に触れるか
撤去(解体)が工事の主目的か

迷う案件は、元請会社の統括(建築一式・土木一式)や、解体工事業者との役割分担で「解体工事に該当」と解釈して対応するのが現実的で安全な運用です。


4. 一番困るのは「書面」|見積・契約・請求の整え方

撤去工事は、役所対応だけでなく元請・発注者・監査へ説明しなければならないような事態に備えておく必要があります。受注者として守るべき最小セットはこれです。

4-1. 見積内訳:目的と工種が読めるようにする

  • 「更新工事(新設・改修)の付帯撤去」であることを明記
  • 「撤去一式」ではなく、可能なら以下のように 工種別・作業別に見てわかるように分けておきましょう。
    • 機器撤去
    • 配管撤去
    • 配線撤去
    • 架台撤去

4-2. 契約書・注文書:工事範囲と役割分担を固定する

  • 誰が何を撤去するのか(元請/一次下請/二次下請)
  • 電気・管・内装など、境界作業(どこまで)
  • 追加工事時の協議条項(「撤去して判明した障害物」対応)

4-3. 請求書:件名が“工種の実態”と不一致にならないように

  • 「撤去一式」や「電気工事一式」のような曖昧表記は後で説明が難しい
  • 可能なら「空調更新工事(付帯撤去含む)」など、目的を残す
  • 管工事の実績として積み上げたいなら、件名・摘要に 空調/冷媒配管/ダクト等の要素を残す
Info

現場の実態も重要ですが、後に残って確認されるのは「書面」です。“何をやったか”を、第三者が見ても説明できる形で残しておけば、将来の許可・経審・監査の際にトラブルになる可能性が低くなります。


5. ケース別に見る|設備一次下請けの撤去で多い判断パターン

5-1. 工場・ライン更新に伴う設備撤去

  • 配管・ダクト撤去:管工事の付帯になりやすい
  • 電源・制御撤去:電気工事の付帯になりやすい
  • 基礎斫り撤去:規模・工法によっては土木/解体系の判断が絡む
    → 見積内訳で「更新工事の付帯」として一貫して説明できるかが鍵

5-2. 屋上空調機更新(架台・防水絡み)

  • 機器撤去は付帯でも、架台切断・アンカー撤去・防水補修の範囲次第で工種が揺れる
    → 施工範囲を契約で分ける(誰が架台・防水までやるか)と揉めにくい

5-3. テナント改修(原状回復に近い撤去)

  • 更新を伴わず撤去が主目的になりやすい
  • 石綿・産廃・近隣対策も重くなりやすい
    → 「付帯撤去」と解釈されにくいこともあるため、体制を要確認

6. 許可とは別の“注意すべきポイント”|産廃・石綿・フロン(設備は特に)

撤去工事は、”解体”に関する許可がクリアできてもさらに 周辺法令で止まることが珍しくありません。設備系一次下請けで頻出なのは次の4つです。

  • 産業廃棄物(廃掃法):分別・マニフェスト・収集運搬の段取り
  • 石綿(アスベスト):事前調査・作業計画・届出(内装撤去や断熱材でヒット)
  • フロン排出抑制法:空調機撤去時の冷媒回収(充填回収業者の手配)
  • 労働安全衛生:切断・高所・斫り等の教育・作業手順・保護具
Warning

元請が「産廃・石綿・フロン」を別扱いにしていないか要注意です。関係者の中で“誰が手配し、誰が記録を残すか”を、契約・施工計画段階で明確にしておくとトラブルが減ります。


7. 実務チェックリスト(一次下請け版)|この順で確認すれば間違えにくい

  1. 撤去対象は何か(機器/配管/配線/架台/基礎/内装)
  2. 工事目的は何か(更新・新設に付帯か/撤去単独か)
  3. 主要構造部に触れるか(触れるなら解体寄り)
  4. 工法はどうか(切断・斫り・躯体加工があるか)
  5. 金額はどうか(追加工事で500万円超の可能性は)
  6. 周辺法令(産廃・石綿・フロン)を誰が担当するか
  7. 契約・見積内訳で「付帯撤去」と説明できるか
  8. 写真・日誌・マニフェスト等、後から説明できる記録が残るか

まとめ|撤去工事は「対象」「目的」「構造影響」「書面」で決まる

撤去工事の許可業種は、単に「撤去だから解体」とは決まりません。設備系一次下請けが押さえるべき判断軸は以下です。

  • 対象:何を撤去するのか(設備か、構造か)
  • 目的:更新・新設に付帯か、撤去単独か
  • 構造影響:主要構造部に触れるか
  • 書面:見積・契約・請求で説明できるか
  • 周辺法令:産廃・石綿・フロンで止まらない体制か

撤去は「作業」ではなく、後から説明責任が発生する「管理対象」です。微妙な頻度で依頼を受ける事業者様ほど、早めに“整理の型”やフローチャートなどを作っておくと、後の負担が大きく減ります。

💡 愛知県の建設業者様 限定

「元請けに許可を取れと言われたけど、うちの工事はどの業種になるの?」

建設業許可は都道府県によって審査のローカルルールが異なります。 愛知県(知事許可)の審査基準を知り尽くした当事務所が、お手持ちの資格や過去の請求書から「許可が取れるか?」を最短10分で無料診断いたします。※対応エリア:愛知県全域(名古屋市・三河・尾張エリアなど)

メールやWebフォームでのお問い合わせをご希望の方はこちらの問い合わせフォームよりご連絡ください。お電話の場合は(0566-70-7195)までお願いいたします。


【免責事項】本記事は、「建設業法」をはじめとする関係法令について、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
個別具体的な事案への適用や、法的判断を行うものではありません。
実際の業務運用においては、事業内容、取引形態、現場の実態、所在地(都道府県)ごとの条例や運用、今後公布される政令・規則等により、求められる対応が異なる場合があります。
本記事の内容を基に行動されたことにより生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
具体的な対応については、専門家にご相談のうえ、貴社の実情に即した判断を行っていただくことをおすすめいたします。

投稿者プロフィール

古井 竜文(たつのり)
古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。