
〜実は「機械器具設置が無くても」戦える?業界激震後の“選ばれる会社”になる許可戦略〜
はじめに:業界に起きた“静かな激震”
国交省が公開した「建設業フォローアップ相談ダイヤル受付状況」に掲載された以下のQ&Aが、設備工事業界に静かに、しかし確実に衝撃を与えました。
Q. 機器代金が400万円、工事代金が150万円の場合に、こちらは500万円未満の軽微な工事にあたるのか。
→ A. 機器代金も含めた金額で判断するため、500万円以上の工事となり建設業の許可が必要になる。
(令和4年7~9月分より)
Q. 軽微な工事の判断について、例えば機械器具の設置で、設置工事のみ依頼する場合は、機械器具代金も含めて判断するべきか。
→ A. 軽微な工事については、請負金額で判断するのではなく、材料等を提供する場合は、その費用と運搬費、消費税込みで判断する必
要がある。したがって、機械器具の製品費用等を含めなくてはいけない。(令和4年1~3月分より)
このQ&Aが示すのは、「軽微な工事」=“工事代だけで500万円未満”ではないという現実です。
つまり――
- 機器代が高騰
- 人件費・外注費が上昇
- 資材費も上がり続けている
これらの環境下では、たとえ自社の工事部分がの金額が小さくても, 税込500万円未満で発注すること自体が難しくなっているということです。
発注者からすると、
- 「追加や変更で500万円以上にならないか?」
- 「もし超えたら無許可工事になってしまうのでは?」
と不安を抱えたまま契約したくない。その結果――発注者や元請は“許可を持つ会社”へ仕事を寄せる流れが強まっています。
さらにこのQ&A公開を境に、大手メーカー・大手ゼネコン・自治体・公的機関では、“コンプライアンス重視の発注基準”が年々強化。「建設業許可の有無」は、事実上 「取引を継続する条件」 に変わってきているのです。
なぜ今、設備工事会社に建設業許可が必須なのか?
先ほどの説明と重なる部分がありますが、理由は3つあります。
- 軽微工事の範囲が実質的に狭くなった(機器代も含むため)
- 元請・発注者側のコンプライアンス要求が急上昇
- 許可無し=“任せるリスク”として評価されやすい
特に設備工事は、
- 工事要素(据付・調整)+機器代(制御機器、消化設備等)
- 配管・電気・据付の複合工事
がセットになることが多いため、自然と500万円(税込)以上となりやすい工事形態です。つまり、許可なしで今後も今までと同じように受注することが非常に難しい時代に突入しているといえます。
1. 設備工事会社がまず理解すべき「許可取得の本質」
建設業許可とは、“許可業種ごとにできる工事範囲が決まる”制度です。
この「できる工事範囲」を正しく理解していないために、”本来は取らなくていい許可に固執”してしまったり逆に、”本来取るべき許可を持っておらず元請化できない”といったケースも発生します。
2. 「機械器具設置工事業じゃないとダメ」は誤解
設備工事業者の皆さまがもっとも誤解しやすいのがこの点で、設備会社の経営者様から質問も多いです:
「うちは設備屋だから“機械器具設置工事業”が無いとダメですよね?」
しかしこれは、現場を分解して考えると必ずしも正しくありません。この誤解は次のハードルにつながります。
機械器具設置工事業は“取得難易度が高い”
- 専任技術者になるのに”10年以上の実務”がメイン ←近年緩和してきています
- 過去の工事実績の詳細なエビデンス ←「機械器具設置工事」と認められない記載表現
- 学歴・資格の要件が他の業種に比べて選択肢が少ない
- 客観的な証明書類が必要
そのため、機械器具設置工事業での申請については多くの設備会社が途中で諦めるのが現実です。
実は「専門工事業種だけ」で十分対応できるパターンが多い
しかしながらそもそも建設業許可が無く元請でない場合は、設備工事の実態は、以下の“専門工事の集合体”であることがほとんどかと思います。
- 電気工事
- 管工事
- とび・土工工事
- 消防施設工事
- 内装仕上工事
つまり、これらの専門工事を複数取得すれば、多くの設備関連の工事を建設業許可事業者として請けられるということです。
機械器具設置は万能な許可業種ではありません
設備会社の皆さまが誤解しがちなポイントとして、「機械器具設置工事業さえあれば、電気や管やとび土工の個別工事も全部できるのでは?」という考えがあります。しかしこれは、建設業法上は誤りです。
- 電気配線工事は電気工事業の範囲
- 配管工事は管工事業の範囲
- アンカー・基礎・架台はとび・土工工事の範囲
- 消防連動工事は消防施設工事の範囲
というように、機械器具設置工事業は複数の業種にまたがる工事全体を統合する部分しかカバーできず、電気・管・土工などの専門工事のみをする場合は“別の(個別)許可業種”として必要です。
つまり、
機械器具設置を取れば万能になるわけではない。むしろ個々の工事をしている場合は電気・管・とび土工の専業許可の方が実務的に必須
というのが実際の現場です。この点も理解しておくことで、自社が本当に必要な許可の組み合わせが明確になり、ムダのない許可戦略を立てることができます。
3. 実務ベースで見た「専門工事で十分」になる具体例
以下は、実際によくあるケース例です。なお附帯工事の扱いは “主要工事の施工に不可欠であるかどうか” が基準であり、「金額規模の大小」と「主要工事との従属性」で総合的に判断されます。
ケース1:工場の空調更新
必要な許可:管工事 (必要に応じて+ 電気工事 + 消防施設工事 + 内装仕上工事)
ポイント
- 機械器具設置は不要
- むしろ“空調=管工事”が主業種で必須、他の業種については附帯工事扱いにできることが多い
ケース2:生産設備の電気改修
必要な許可:電気工事 (必要に応じて+ とび・土工工事)
ポイント
- 既設盤の更新や配線替えが中心
- 据付工事としては“とび・土工”で足りるケースが多いが附帯工事扱いにできることも
ケース3:工場ユーティリティ増設
必要な許可:管工事
ポイント
- 蒸気・エア・冷却水などの配管工事が主体
- 専門工事の範囲で完結
小規模設備更新(搬入・据付中心)
必要な許可:とび・土工工事
ポイント
- 重量物の移設・アンカー施工
- これも“機械器具設置”ではなくとび土工の範囲に収まる場合が多い
4. 専門工事を組み合わせる方が現実的で“強い”理由
理由①:取得しやすい
どの業種も実務経験で認められやすく、専門技術者要件が比較的厳しくない。
理由②:工事の大半をカバーできる
設備工事=“電気+管+とび土工”の組み合わせがあれば製造ライン一式工事や大型のプレス工事といった案件以外はほぼ網羅できる。
理由③:元請や一時下請けとして受注しやすくなる
専門工事で請けられる範囲が明確になり、発注側のコンプラ要求に応えられ不要な業者をひとつ間に入れる必要がなくなります。
理由④:工事で受けられる内容の幅が広がり利益率が改善
役務部分のみ下請丸投げが減る → 機器等の調達部分も自社対応することで売上・粗利が増える。
理由⑤:許可を持つことで信頼が上がる
大手メーカーの発注案件やゼネコンの取引先選定で有利。
5. 設備会社におすすめの“許可モデル”
会社の主力業務に応じて、以下の許可構成が最も実務に合います。以下の場合で太文字ハイライトの工事はほぼ必須でその他はあれば差別化と収益アップにつながります。
空調設備・給排水工事が主力
- 管工事
- 電気工事
- 消防施設工事
- 内装仕上工事
工場設備ラインの更新が主力
- 電気工事
- とび・土工工事
- 管工事
工場ユーティリティ・メンテ系が主力
- 管工事
- 電気工事
6. 許可は“経営戦略”であり、公共工事参入の第一歩
許可を整えることは、単なる書類対応ではありません。
- 元請化の基盤づくり
- 発注者の信頼獲得
- 公共工事への参入条件
- 500万円超工事への対応力
すべてに直結します。
さらに、公共工事を“第2の柱”にしたい設備会社やエンジニアリング会社にとって、許可は必須のスタートラインです。
7. まとめ:機械器具設置に縛られず“取れる許可”から戦略的に整える
この記事のポイントのまとめです:
- 業界は今「許可なしで仕事がしづらい時代」に突入
- 軽微工事の定義が厳格化 → 500万円未満に抑えるのが困難
- 発注者はコンプラ上“許可の有無”を重視
- 機械器具設置を取れなくても問題ない場合も多い
- 専門工事業種の組み合わせで十分元請化できる
- 許可の取得とその構成は経営戦略そのもの
設備工事会社にとって、建設業許可は「持っていなければ選ばれない時代の必須資格」 になってきつつあります。
8. 次の一歩:最適な許可構成を“無料診断”します
「うちはどの業種を取得すべき?」
「機械器具設置が取れないけどどうしたら?」
「専門工事だけで元請になるには?」
こうした疑問や不安があれば、無料で“貴社専用の許可構成案”を作成します。
- 工事内容の棚卸し
- 外注構成から必要業種を分析
- 専任技術者になれる人材の確認
- 許可取得の最短スケジュール案の作成
すべて 建設業許可を持つ工作機械専門商社での経験 × 行政手続の両面を理解した専門家として 伴走します。建設業許可の取得から、その後の事務管理体制の整備・元請化・公共工事への展開まで、ワンストップでサポートいたします。
初回相談は無料ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。
【ご注意】当ホームページの内容は、建設業法等に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件に対する法的判断を示すものではありません。実際の許可要否や手続きについては、管轄行政庁に確認するか、当事務所までお問い合わせください。



