
電気設備工事業・空調工事業の皆様へ
建設業許可(国土交通省管轄)を取得したあと、意外と見落とされがちなのが「電気工事業(経産省管轄)の登録関係」です。
「うちは管工事の許可だから関係ない」
「電気工事は協力会社に任せている」
「みなし登録って聞いたことはあるけど、正直よく分からない」
こうした認識のまま進めてしまい、後から“未届出”や“業務範囲の不一致”を指摘されるケースは少なくありません。
この記事では、建設業許可を取得した事業者(特に設備系の建設工事、エンジニアリング会社や機械商社)が関係してくる「みなし登録電気工事業者」制度について、工作機械商社出身の行政書士が実務で判断に迷いやすいポイントを中心に解説します。
みなし登録電気工事業者とは?
本来、電気工事を業として行う場合には、電気工事業法に基づく「電気工事業者の登録」が必要です。
ただし、すでに 建設業許可を取得している場合または新たに建設工事業の許可を取得した場合には、通常の登録ではなく、
「みなし登録電気工事業者」
として扱われます。この「みなし登録」とは、電気工事業者としての登録義務が免除されるという意味ではありません。建設業許可とは別に、都道府県への届出が必要という点が、よく誤解されます。
何をすると「みなし登録」が必要になるのか
みなし登録電気工事業者の届出が関係するのは、次のようなケースです。
- 電気工事業だけでなく、その他の業種も含めて建設業許可を取得した
- 建設業許可をすでに持っている事業者が電気工事を自社施工として行うことにした
- 協力会社任せではなく、契約上も自社工事としている
このような場合、建設業許可とは別に「みなし登録」の届出をしなければならない可能性が高いです。
よくある勘違い①
「建設業許可を取ったら自動的に電気工事ができる」
これは 半分正解で、半分誤りです。
確かに、建設業許可(電気工事業)を取得していれば、許可の観点では電気工事を行うことができます。しかし、
- 電気工事業法上の届出
- 営業所の体制
- 主任電気工事士等の配置
といった点は、別のルールに基づく手続きが必要です。実務では、「建設業許可はあるが、みなし登録の届出をしていなかった」というケースが後から問題になることがあります。
よくある勘違い②
「空調工事だから、みなし登録は関係ない」
空調工事や電気通信工事、機械器具の設置などの設備工事を行う会社では、電気工事との線引きが非常に曖昧になりがちです。
- エアコン設置工事
- 動力設備の接続
- 分電盤まわりの作業
これらが契約内容や施工範囲に含まれている場合、電気工事業としての手続きが必要になることがあります。
「管工事のつもりでやっていた」
「現場判断で電気工事を含んでいた」
こうした現場感覚と法令上のルールの不一致が、みなし登録の要否判断を難しくしている原因です。
なぜ「自己判断」が危険なのか
みなし登録電気工事業者の届出は、
- やる・やらないで工事の可否が即変わる
- 形式的な手続きに見えやすい
ため、軽く考えられがちです。しかし実務では、
- 契約書・請求書の記載
- 実際の施工範囲
- 建設業許可の業種構成
これらを総合的に見て判断されます。一部だけを切り取って「うちは大丈夫だろう」と安易に判断すると、後々、元請会社からの発注停止処分や公共工事の入札資格の取り消しなどで問題化することになります。
みなし登録電気工事業者の届出をする場合の流れ(概要)
一般的には、次のような流れになります。
- 建設業許可(電気工事業など)を取得 ←この時点ではまだ登録電気工事業者
- 主任電気工事士等の体制を再確認
- 所管行政庁(都道府県)へ届出
- 届出後、みなし登録電気工事業者としての活動開始
※提出書類や運用は 都道府県ごとに差があるため、画一的な対応はできません。
設備系建設工事会社の事務管理部門が注意すべきポイント
みなし登録の問題は、現場よりも管理部門に負担が集中します。
- 許可はあるのに届出がない
- 工事内容と登録内容が一致していない
- 誰が何を管理しているか曖昧
この状態で規模拡大すると、元請からの管理体制のチェックや行政対応の際に問題が表面化します。
まとめ
みなし登録電気工事業者の手続きは、「関係ある人だけがやればいい」ものではなく、設備や空調等の工事をしている会社は影響を受けやすい制度です。
- 建設業許可を取ったあと
- 工事内容が拡大してきたとき
- 管理部門が不安を感じたとき
このタイミングで一度、必要な許認可を確認して整理することで、今後のトラブルを回避することが可能になります。
自社内の人員や、業務負荷では難しい場合には外部の専門家に頼むのも選択肢のひとつです。
【免責事項】本記事は、「建設業法」「電気工事業法」をはじめとする関係法令について、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別具体的な事案への適用や、法的判断を行うものではありません。
実際の業務運用においては、事業内容、取引形態、現場の実態、所在地(都道府県)ごとの条例や運用、今後公布される政令・規則等により、求められる対応が異なる場合があります。
本記事の内容を基に行動されたことにより生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
具体的な対応については、専門家にご相談のうえ、貴社の実情に即した判断を行っていただくことをおすすめします。
投稿者プロフィール

- (株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
- 自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。







