― 法令概要と建設業者がやるべきこと、そして当事務所がお手伝いできること ―


1. はじめに

建設現場では、塗料・接着剤・シンナー・研磨粉じん・溶接ヒューム・古い建築物の石綿(アスベスト)など、さまざまな化学物質が日常的に利用されています。

2024年4月、労働安全衛生法の大幅改正により、事業者の化学物質管理は「完全に新しいルール」へ移行しました。

特に建設業では、塗装・解体・溶接・防水・コンクリート作業など、化学物質を扱う場面が多いため、対応の重要性が急速に高まっています。


2. 2024年4月から変わった「新たな化学物質管理」のポイント

① リスクアセスメント対象物質が大幅に増加

これまで約670物質だった規制対象が、2024年4月に 234物質追加され、2026年4月には 約2,900物質に拡大予定です。
(厚労省・新化学物質管理制度の発表より)

つまり、建設現場で使用している多くの化学品が「新たに規制対象」となります。


② 労働者の「ばく露(吸入・接触)」を最小限にする義務が事業者に

労働者が化学物質にばく露する程度を、設備(局所排気・換気)作業方法の改善保護具などにより「最小限度」にする義務が課せられました。2024年4月から濃度基準値の遵守も義務化。


③ 化学物質管理者の選任が義務化

リスクアセスメント対象物質を取り扱う事業場は、その事業場ごとの化学物質管理者の選任が義務。(安衛則12条の5)


④ ラベル表示・SDS管理の強化

  • 全ての対象物質で ラベル表示義務
  • SDS(安全データシート)の内容更新・通知義務
  • 小分け容器へのラベル付けも必須(令別表9など)

⑤ 皮膚吸収・皮膚刺激性物質への保護具着用義務

2024年4月から、皮膚障害化学物質への直接接触防止が義務化されました。
(保護具着用管理責任者の選任も必要)


3. 現行の主要化学物質関連法令の概要(建設業に関係するもの)

念のため、現行の個々の化学物質管理法令についても再確認しておきましょう。

◆ 労働安全衛生法(安衛法)

化学物質のリスクアセスメント・SDS・ラベル表示・教育など、事業者の化学物質管理の基本となる法律。2024年に大幅改正。

◆ 特定化学物質障害予防規則(特化則)

六価クロム、鉛、アスベスト等の管理が必要。塗装・防水工事・解体工事に密接。

◆ 有機溶剤中毒予防規則(有機則)

トルエン、キシレンなど。塗装・シーリング・内装工事で多く該当。

◆ 石綿障害予防規則(石綿則)

解体工事・改修工事では必ず調査が必要。

◆ 消防法(危険物)

塗料・シンナーなど可燃物の保管に関する規制。

◆ PRTR法

一定量以上取り扱う事業者に届け出義務(塗装工場等)。


4. 建設業者が「やらなければならないこと」

以下は、厚労省および建災防のガイド(2024年4月からの義務)を参考にまとめた実務的な ToDo リストです。


自社で使っている化学物質の「全リスト化」

  • 塗料、溶剤、接着剤、シリコン、防水塗料、薬剤など
  • CAS番号レベルの情報を入手したうえで製品名ベースで一覧を作成

法令該当性の判定(どの規則が適用されるか)

  • 特化則/有機則の対象か?
  • 新しい「リスクアセスメント対象物質」に該当するか?(入手したCAS番号をもとに対象物質検索で確認)

SDSの収集・更新・現場への周知

  • 全ての対象物質のSDSを収集
  • 最新版への更新が必要
  • 外国人技能者向けに要点説明も推奨

ラベル表示の徹底(小分け容器含む)

  • シンナーをペットボトルに移して使うなどは絶対NG
  • 現場の安全管理で最も問題になりやすいポイント

作業ごとのリスクアセスメントの実施

  • 換気は十分か
  • ばく露濃度は基準以下か
  • 防護具の種類は適切か
  • 作業手順書に落とし込む必要あり

厚生労働省が案内をしている「CREATE-SIMPLE」を活用するのが最も現実的です。


化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任

  • 2024年4月から義務
  • 建設業者の多くが未対応(厚労省発表より)

教育訓練(新人・職長・外国人)

  • 新ルールでは教育内容が拡充
  • 外国人技能実習生・特定技能にも対応が求められる

ここで一度、立ち止まって整理してみませんか?

化学物質管理は「違反していないか」が最も重要ですがまずは「自社としてどう考えて何をしているかを説明できるか」がポイントになります。何をどこまで整えれば取り急ぎ説明できる状態になるのかを初動レベルで整理するサービスを提供しています。


5. 当事務所が提供できるご支援

化学物質関連の管理については意外とそれなりの知識が必要になることと、多忙な日常業務の中に「特命業務」として上乗せするのは人手不足の環境下では難しいかと思います。そんなときは業務の外だし→当事務所をご活用ください。当事務所の代表は化学物質管理者講習を受講済みです。


① 化学物質管理の「現状診断」

  • 保管状況
  • ラベル表示
  • 洗浄剤・接着剤などの取り扱い
  • 法令該当性チェック
    → 不備をわかりやすくレポート化

② 必要書類・仕組みの整備

  • 化学物質管理規程
  • 作業手順書(塗装・接着・溶接等)
  • SDS管理台帳(Excel)
  • 化学物質リスト(法令該当性付き)

現場でそのまま使える形で作成します。


③ 化学物質管理者選任のサポート

  • 選任要件の判定
  • 外部講習の情報提供
  • 選任書類の準備

④ 現場向け教育、資料の作成

  • やさしい日本語版
  • 外国人向けの簡易版(英語・ベトナム語など)
  • 30分の現場講習スライド

⑤ 元請対応・労基署対応のサポート

  • 安全書類の更新
  • 化学物質管理に関する元請からの要求事項への対応
  • 労基署調査の事前準備

最後に

建設業での化学物質管理は、2024年4月の制度改正により「やらなければいけないこと」が急増しました。

一方で、

  • どの物質が対象かわからない
  • SDSの読み方が難しい
  • 教育まで手が回らない

という声を本当に多くいただきます。当グループでは、“建設業向けの化学物質管理支援” にも対応しており、御社の実態に合わせた仕組みづくりをサポートいたします。

今のうちに「初動」だけ整理しておきませんか?

2026年4月で制度改正は一段落しますが、これからは 元請・発注者から“管理状況を確認される” ステージへの移行が予想されます。

「聞かれたときに説明できるか不安」「何から手を付ければよいか分からない」

そんな段階でも問題ありません。初回のweb無料相談では、新しい化学物質管理に対応するための“最初の整理”をどうすれば良いのかを一緒に考えます。

【免責事項】本記事は、「労働安全衛生法」をはじめとする関係法令について、一般的な情報提供を目的として作成したものです。
個別具体的な事案への適用や、法的判断を行うものではありません。
実際の業務運用においては、事業内容、取引形態、現場の実態、所在地(都道府県)ごとの条例や運用、今後公布される政令・規則等により、求められる対応が異なる場合があります。
本記事の内容を基に行動されたことにより生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
具体的な対応については、専門家にご相談のうえ、貴社の実情に即した判断を行っていただくことをおすすめします。

投稿者プロフィール

古井 竜文(たつのり)
古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。