
はじめに
最近、工場で「IoT」や「DX」を進めるために、センサーやネットワーク機器を導入する会社が増えています。でも、その設置作業、建設業の許可(多くの場合は「電気通信工事業」に該当)が必要になることがあるってご存じですか?
「うちはモノ売りだし、設置代金は少額だから関係ないでしょ?」と思っていると、実は法律違反になることも…。この記事では、どんなときに許可が必要になるのか、簡単にポイントを解説します。
1. どんなときに許可が必要?
IoT機器の設置でも、
- LANケーブルや光ファイバーの配線
- ネットワーク機器やセンサーの設置
- 防犯カメラやインターホンの設置
- ポールやラックの設置
- 壁や天井に穴を開けて機器を固定する
- 配線を隠すために壁や天井の中に通す
- 電源工事(コンセント増設、ブレーカー追加など)
こういった「工事」と判断される作業を請け負う場合は、電気通信工事業の許可が必要になることが多いです。
2. 「電気工事業」との違い
よく「電気工事業」と混同されますが、
- 電気工事業は主に電気の供給(照明・動力・コンセントなど)に関する工事
- 電気通信工事業はLANやネットワーク配線、通信機器、監視カメラ、IoTセンサーなど「情報通信」に関する工事
IoT機器の設置は、通信やデータのやり取りが主な目的なので「電気通信工事業」に該当することが多いです。ただし、電源工事やコンセント増設など「電気工事業」の範囲も一部含まれる場合があり電気通信工事業の附帯工事として対応することが多いです。
3. 許可がいらない場合もある
- 機器を置くだけ、両面テープで貼るだけ
- 既存のコンセントに差し込むだけ
- ネットワーク設定やソフトのセットアップだけ
こういった場合は、許可が不要なこともあります。
【ご参考】国土交通省への照会事例
IoT機器の設置について、国土交通省へ照会(確認)をした事例をひとつご紹介したいと思います。
【事例概要】IoT機器を顧客工場の設備に取り付けて、遠隔監視サービスを有償で提供したい。本サービスではIoT機器の所有権は機器の製造メーカーであるA社にあり、設置作業自体で報酬を得るわけではない。
「この場合も建設業許可が必要なのか?」というものです。この疑問に対し、国土交通省は次のように回答しています。
A社のIoT機器の設置は、それ自体に対し報酬を得ることを目的とする行為ではなく、当該機器を利用して得られる情報をもとに有償提供するサービスのための行為であり、A社の行為が建設工事の完成を請け負う営業としての実態を有するとは解されず、A社が顧客との間で締結する契約は法第24条に定める「建設工事の完成を目的として締結する契約」とは解されない。よって、A社が行おうとする行為は法第2条第2項に定める建設業にあたらないものと解されるため、A社は法第3条に規定する建設業の許可を要しない。
(令和6年8月29日付「法令適用事前確認手続」について国土交通省不動産・建設経済局建設業課長より回答した内容より引用)
判断根拠としては以下の考え方が根底にあります。
- IoT機器の設置が「サービス提供のための準備」であり、「工事の完成」を目的としていない場合は、建設業許可は不要
- 逆に、工事の完成(例えば、配線や固定など)を目的として請け負う場合は、建設業許可が必要
- 設置作業自体で報酬を得る場合や、工事の完成を目的とする契約の場合は、許可が必要になる
つまり、「工事の完成」を目的とするかどうか、契約内容や実際の作業内容で判断されるということです。
4. まとめ
- IoT機器の設置は、基本的に「電気通信工事業」の許可が必要になることが多い
- 「電気工事業」とは目的や工事内容が違う
- 許可が必要かどうかは、作業内容と契約の目的で決まる
- 国土交通省の見解でも、「サービスの提供が目的」なら許可不要、「工事の完成」なら許可必要
とはいえ、個別具体的状況により判断されるという部分は否めませんので不安、心配な場合は管轄の行政庁にお問合せいただくか、行政書士に相談することをお勧めします。
「うちの作業は許可がいるのかな?」「許可を取るとしたら、どうすればいい?」そんな疑問があれば、ぜひ当グループにご相談ください。初回のご相談は無料ですのでお気軽にご連絡ください。



