「この作業は解体工事業の許可が必要? それとも、とび・土工・コンクリート工事業(以下、とび・土工)で足りる?」――現場でよくある疑問に、行政書士の視点から許可が必要となる範囲混同しやすい部分を、実務でイメージできるように具体例とともに整理します。

まず押さえる基本:いつ「解体工事業の許可」が必要になるか

  • 請負金額が500万円以上(消費税込の「解体工事」を受注・施工するときは、原則として解体工事業の許可が必要です。
    ※建築一式工事の特例(1,500万円以上/延べ面積150㎡以上の木造等)は、解体には通常適用されません。
  • 「解体工事」とは、既存の建築物または工作物の除去を工事の主たる目的とするもの(全部・一部を問わず)をいいます。
    工事の区分は、用いた工法ではなく工事を終えたときにどんな状態になっているかで判断します。
  • 500万円未満の小規模な内装解体・外構撤去などは、許可が不要な場合もあります。ただし、同一現場での分割契約の合算や、廃棄物処理費を含めた総額で500万円を超える場合は注意が必要です。

【参考情報】解体工事業は平成28年6月1日に独立業種として新設され、旧来の「とび・土工」許可の経過措置は令和元年6月1日に終了しました。現在は、一定の要件を満たすの解体作業を行うには解体工事業の許可が不可欠です。

「解体工事業」に該当する具体的な作業

  • 建物本体の解体:木造・RC造・S造を問わず、戸建・共同住宅・倉庫・工場・事務所等の全部解体・一部解体(スケルトン化を含む)
  • 内装解体・設備撤去:スケルトン工事、間仕切・天井・床材撤去、躯体露出化のための除去、固定された設備・機器類の撤去
  • 基礎・土間・地下構造の撤去:フーチング・ベタ基礎・地中梁・ピット・マンホール等の斫り・破砕・搬出
  • 工作物の撤去:擁壁・ブロック塀(基礎共)、門柱・フェンス基礎、看板基礎、煙突・タンク・サイロ・プラント架台等の除去
  • 地中障害物の除去:既存構造物に由来する杭頭・基礎コンクリート塊・埋設構造物等の撤去

判断のコツ:コンクリートを切る・壊す・運ぶといった工法は共通でも、最終目的が「既存構造の除去」であれば解体工事業の範囲です。逆に、開口新設や補修のための一部はつりのように、目的が「構造を残しつつ機能を付加・回復」なら解体ではありません(後述)。

混同しやすい「とび・土工・コンクリート工事業」にあたる作業(解体ではない例)

下記は現場で「解体っぽい」作業や動作を伴いますが、主たる目的からみて「とび・土工」に区分される例です。

  • コンクリート切断・穿孔・はつり:開口新設・スリーブ孔あけ・段差解消など、既存構造を存置しながら部分加工する工事
  • 地業・掘削・根切り・埋戻し・整地:新築や外構改修のための土工事(既存構造の除去が主目的でない)
  • 足場の組立・解体、山留・法面保護、型枠支保工:仮設・保護目的の作業全般
  • くい打ち・くい抜き、地盤改良:基礎施工や地盤補強に係る工事(既存建物の撤去が主ではない)
  • 舗装の切削・打替:道路・駐車場などの舗装面の更新(目的が「撤去」ではなく「舗装の再構築」)
  • 補修・補強・断面修復:構造体を残して性能回復・向上を図る作業(カーボン補強、断面修復など)

ポイント:工事の名称や作業手順ではなく、契約内容で求められる”工事を終えたときの状態”で区分します。例えば、RC壁に開口を設けるためのコア抜きは「とび・土工」ですが、建物をスケルトン化するための一括内装撤去は「解体」です。

よくある”どちらとも判断されうる”事例(実務の勘どころ)

  • 内装解体+産廃処理で総額が500万円を超える案件:産廃処理費も請負に内包されるなら合算で判断し、解体工事業の許可が必要。
  • 外構改修に伴うブロック塀の一部撤去:目的が「老朽塀の除去」なら解体。目的が「門扉の更新に伴う開口調整」なら、とび・土工に該当し得る。
  • 地中障害の撤去:既存建物や工作物に由来する構造物の除去が主目的なら解体。単なる土工の過程で出てきたコンクリートガラの処理は、とび・土工の範囲にとどまることも。
  • 舗装はがし:更地化・更地引渡しのための全面撤去は解体の一部として扱うことがある。一方、舗装更新のための切削・再舗装は「舗装工事」または「とび・土工」。

境界は契約書の工事目的と出来形(工事を終えたときの目的物の状態)の書きぶりに左右されます。見積・契約段階で「除去」「撤去」「更地化」等の文言と範囲を明確にし、適切な業種許可で受注できるよう事前確認を行いましょう。

元請・下請で異なる? 必要となる許可の考え方

  • 元請:現場全体の請負金額で判断。解体部分を分離して下請に出す場合でも、元請として全体の管理責任と法令遵守の確認が必要。
  • 下請:自社が実際に施工する工種と、その請負金額で判断。解体部分を受け持つ下請は、当該規模なら解体工事業の許可が必要。
  • 分割契約のリスク:同一目的の工事を形式上分割して500万円未満に見せると、合算判断となるおそれ。初期段階での許可要否チェックが肝心です。

あわせて、建設リサイクル法の事前届出や、労働安全衛生法に基づく解体工事作業指揮者の選任・作業計画等の手続も必要となります。建設業の解体工事の許可がある=全て適法ではなく、関連法令の実務運用まで一体で整えることが重要です。

チェックリスト:これは「解体許可」が必要?

  • 工事の主たる目的は「既存建物・工作物の除去」か?
  • 請負総額(消費税込)で500万円以上か?(産廃処理等を含む)
  • 一連の工事を分割発注していないか?(合算の可能性)
  • 自社が受け持つ範囲に解体行為が含まれるか?(下請判断)
  • 関連する届出・安全衛生の準備は整っているか?

上記のうち、二つ以上で「はい」が付く場合は、解体工事業の許可が必要な可能性が高いです。

まとめ:迷ったら「目的」で判断し、早めに専門家へ相談を

許可要否は、工法名や作業名ではなく契約上の目的と出来形(工事を終えたときの目的物の状態)で線引きします。500万円以上の解体を見込むなら、見積・契約前に「解体工事業の許可」が必要かを必ず点検しましょう。どちらとも判断されうる事例では、契約文言や見積内訳の整理で適切な業種判断が可能になります。許可・経審・各種届出まで一体で整えることで、入札や元請からの信用にも直結します。

当事務所では、解体工事業の新規・更新許可、業種追加、経審、建設リサイクル法の届出、契約書・見積書の文言整備まで、現場実務を踏まえたトータル支援を提供しています。

また、当事務所でも判断しかねるようなケースの場合は、役所への確認のための同行もしております。

「この案件、解体許可が要る?」「内装スケルトンはどっち?」といった個別の判定もお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

【ご注意】本記事の内容は、建設業許可に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件に対する法的判断を示すものではありません。実際の許可要否や手続きについては、必ず所轄行政庁に確認するか、当事務所までお問い合わせください。