建設業許可を取得した後、工事現場に配置する技術者には「主任技術者」または「監理技術者」(以下、本記事では主任技術者と監理技術者をあわせて「現場技術者」と表記します)が必要です。さらに、工事の内容と規模によっては現場専任が義務付けられます。この記事では、専任義務が発生する条件と例外的に兼務が認められるケースについてその概要をわかりやすく解説します。
専任義務とは?
専任義務とは、現場技術者が工事現場に常駐し、他の現場を兼務できない状態を指します。これは、工事の品質・安全を確保するために建設業法で定められました。
専任が必要な工事とは?
以下の①と②の両方に該当する工事について主任技術者等の専任が求められます。
①公共性のある重要な工事
建設業法第26条3項の条文では「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」とされていますが、実運用としては要するに”戸建て住宅を除くほとんどの工事”が対象になります。
②工事契約1件の金額
- 請負金額が税込4,500万円以上
- 建築一式工事の場合は税込9,000万円以上
専任義務がない場合は?
- 請負金額が上記②未満の場合、現場技術者は複数現場を兼務可能です。
- ただし、兼務する場合も常時連絡可能な体制等一定の要件を満たす必要があるため無制限に兼務が可能というわけではありません。
令和6年12月改正で変わったこと
令和6年(2024年)12月の法改正により、条件を満たせば「専任が必要な工事」についても最大2現場まで兼務可能になりました。主な条件は以下の通りです。
- 工事金額:1億円未満(建築一式2億円未満)
- 現場間移動:1日巡回可能、2時間以内
- 情報通信機器の活用(遠隔管理、スマホ、web会議システム、CCUSなど)
- 各現場に連絡員配置
- 人員配置に関する計画書の作成、備置、保存
- 下請次数が3次以内
等々です。その他の条件や各条件の詳細については必ず「建設業法施行規則」「監理技術者制度運用マニュアル」等でご確認ください。営業所での常勤が求められる営業所技術者(旧称:専任技術者、いわゆる”専技”)と現場技術者の兼務可否についても注意が必要です。
専任義務違反のリスク
専任義務を守らないと、建設業法違反となり、以下のリスクがあります。
- 行政処分(営業停止・許可取消)
- 発注者とのトラブル
- 信用失墜による受注減
まとめ:判断に迷ったら専門家へ
- 専任義務は工事金額と契約形態で決まる
- 一般建設業は主任技術者、特定建設業は監理技術者の専任が必要になることがある
- 法改正で兼務条件が緩和されたが、要件は厳格
「うちの工事は専任が必要?」と迷ったら…
専任義務の判断は複雑で、誤ると違法リスクがあります。「民間工事だから大丈夫だろう」と安易に義務を怠ったり、知らずに工事を進めて事故でも起こったら大問題です。
「兼務できる条件を満たしているか」「情報通信機器の導入で対応できるか」など、判断に迷う場合は、管轄行政庁(国土交通省または都道府県)の相談窓口、または行政書士に相談することをおすすめします。



