建設業許可を取得した後、現場や営業所に配置しなければならない「技術者」。毎年提出する事業年度終了届の「工事経歴書」にも、列挙した工事ごとに配置技術者を記入する欄があります。しかし、”配置技術者と専任技術者の違い”や”主任技術者と監理技術者の違い”、兼務できる条件、専任義務の有無は非常にわかりにくいポイントです。
この記事では、特定建設業の事業者様向けに、配置技術者の基本から、専任技術者・主任技術者・監理技術者との違い、兼務や専任義務の判断基準まで、その概要をわかりやすく解説します。
1. そもそも「配置技術者」とは?
建設業法では、建設業者に次の2種類の技術者の配置を義務付けています。
- 営業所ごとに配置する「専任技術者」
- 工事現場ごとに配置する「配置技術者」
配置技術者はさらに「主任技術者」と「監理技術者」に分かれます。特定建設業の場合は、下請契約の合計額が5,000万円以上になると「監理技術者」が必要ですが、下請けに出さない場合(自社のみで施工)や、出しても5,000万円未満の場合は「主任技術者」の配置が必要です。※下請けに出すパターンのイメージ図

2. 専任技術者とは?営業所に常勤する技術責任者(特定建設業の場合)
専任技術者は、建設業許可の要件として営業所に配置する技術者です。
- 役割:請負契約の見積作成や締結、適正な契約履行など受注前後の技術的サポート
- 配置場所:営業所に常勤
- 資格要件:{業種ごとの難易度の高い国家資格、学歴+実務経験、または10年以上の実務経験}+指導監督的実務経験
営業所に常駐することが求められ、原則として現場に出ることはありません(例外あり)。
3. 配置技術者とは?現場の技術責任者
特定建設業の場合、配置技術者は監理技術者または主任技術者です。
- 監理技術者が必要な場合:下請契約の合計額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)
- 主任技術者が必要な場合:
- 下請けに出さない場合(自社のみで施工)
- 下請けに出しても合計額が5,000万円未満の場合
役割:施工計画の作成、品質・工程・安全管理、下請業者の指導・監督
資格要件:監理技術者:特定建設業の専任技術者と同様 / 主任技術者:一般建設業の専任技術者と同等
4. 専任技術者と配置技術者の違いを整理
| 技術者種別 | 配置場所 | 主な役割 | 専任義務 |
|---|---|---|---|
| 専任技術者 | 営業所 | 請負契約前後の技術的サポート | 専任&常勤必須 |
| 監理技術者 | 工事現場 | 下請け管理を含めた工事全体の施工管理・品質・安全 | 工事規模により専任(5で解説) |
| 主任技術者 | 工事現場 | 施工管理・品質・安全 | 工事規模により専任(5で解説) |
5. 専任義務が発生する条件
- 監理技術者:下請契約の合計額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)
- 主任技術者:請負金額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)
公共工事や公告対象工事では、金額に関係なく専任義務が課される場合があります。
6. 兼務はできる?→条件付きで可能
営業所に常勤すべき専任技術者と、現場に配置すべき監理技術者・主任技術者の兼務は基本的に認められませんが、下記のような例外規定が設けられています。
兼務できる条件①:専任義務のある工事
上記「5.専任義務が発生する条件」で解説した工事の場合です。
- 請負金額:1億円(建築一式工事の場合は 2億円)未満
- 兼任現場数:1工事現場
- 営業所と工事現場の距離:1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
- 下請次数:3次まで
- 連絡員の配置:監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者の配置(土木一式工事又は建築一式工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)
- 施工体制を確認できる情報通信技術の措置
- 人員の配置を示す計画書の作成、保存等
- 現場状況を確認するための情報通信機器の設置
各項目の運用詳細や留意事項は、「監理技術者制度運用マニュアル」にて必ずご確認ください。
兼務できる条件②:専任義務の無い工事
- 当該営業所で契約した工事
→ 例えば、本社とA支店が営業所として届出してあり、本社では甲さんが、A支店では乙さんがそれぞれ専任技術者となっている場合、A支店で契約した工事でA支店の乙さんは主任技術者になれますが本社の甲さんはなれません。 - 現場との距離が近く、常時連絡が可能であること
- 所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
→ 直接的とは?:派遣社員はNG。出向社員も原則NG(ただし、企業グループ間、会社再編、持ち株会社、特殊な組合の場合の例外あり)
→ 恒常的とは?:極端に短い期間でなくある程度の期間雇用されること。
(例:公共工事での元請の配置技術者は入札前3か月間の雇用契約が必要)
まとめ:違法リスクを避けるために
- 専任技術者=営業所の責任者、特定建設業の配置技術者は「監理技術者」と「主任技術者」の2種類でいずれも現場の責任者
- 特定建設業の場合、下請けに出さない場合や5,000万円未満の場合は主任技術者が必要。それ以外の場合は監理技術者が必要。
- 兼務は原則不可。兼務をできる特例もあるが複雑な条件あり。
「今回の工事に必要なのは監理技術者?主任技術者?」「兼務できる?」と迷ったら…
配置技術者の判断は複雑で、誤ると建設業法違反になる可能性があります。判断に迷う場合は、管轄行政庁または行政書士に相談することをおすすめします。
当事務所では、建設業許可・技術者配置に関するご相談を初回無料で承っています。お気軽にお問い合わせください。
【ご注意】当ホームページの内容は、建設業法等に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件に対する法的判断を示すものではありません。実際の許可要否や手続きについては、管轄行政庁に確認するか、当事務所までお問い合わせください。
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投稿者プロフィール

- (株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
- 自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。








