建設業で設備関連の工事を行う事業者様から、「電気工事業の許可を取るべきか、電気通信工事業の許可のどっちを取るべきか分からない」というご相談を数多くいただきます。

特に、

  • LED照明取替
  • 防犯カメラの設置
  • ネットワーク設備の配線
  • 太陽光・蓄電池まわりの工事
  • 弱電系の設備工事

などを取り扱う企業様の場合、「どこまでが電気?」「どこからが通信?」と迷われるケースが非常に多いのが実情です。

この記事では、電気工事業と電気通信工事業の違いを簡単に整理し、どのような業務を行う企業様がどちらを取得すべきかについて、行政書士の立場から分かりやすく解説します。また、営業所専任技術者の経験年数による資格要件を満たす場合には、どちらを選ぶかが特に重要になる理由についても触れています。


1.電気工事業とは?(電気を扱う工事の許可)

電気工事業は、一般的に以下のような「電気設備」に関わる工事を行う場合に必要となります。

  • 受変電設備工事
  • 配線工事(動力・電灯)
  • コンセント・スイッチ等の電気設備工事
  • 照明設備の取り付け
  • 太陽光発電設備の電気部分の工事

つまり、建物に電気を送るための設備や、電気を動力源とする設備に関わる工事全般がここに該当します。

なお、電気工事業は「電気工事士法」との関係も深く、一定の作業については第一種・第二種電気工事士が必要になり建設業許可の取得とは別に登録電気工事業の変更手続きも発生します。この点も、通信工事とは大きく異なるポイントです。


2.電気通信工事業とは?(情報を扱う工事の許可)

一方で電気通信工事業は、簡単に言えば「情報を送る設備や、通信ネットワークに関する工事」です。

代表例は以下の通りです。

  • LAN配線工事
  • ネットワーク設備の構築
  • 防犯カメラの通信配線
  • 放送設備の配線工事
  • テレワーク用ネットワーク設備の整備
  • 光ファイバー配線工事
  • 電話交換設備や構内PBXの設置

つまり、電気“そのもの”ではなく、情報・データをやり取りするための通信設備を扱う工事が対象です。同じ「弱電」と呼ばれる分野でも、

  • 電源供給に関わる部分 → 電気工事業
  • 画像・音声・データを送る部分 → 電気通信工事業

と線引きされるケースが多いのです。


3.実務上よくある「どちらの許可?」という迷い

弱電工事を扱う業者様からよくいただくご相談の例は以下の通りです。

防犯カメラを設置しているがどちら?

防犯カメラは

  • カメラ本体への電源供給部分 → 電気工事業
  • カメラ映像を録画装置まで送る通信配線 → 電気通信工事業
    に分かれます。

つまり、多くのケースで両方の工事が発生する可能性が高いのです。

LED照明の交換

電源設備に直接関わるため、原則として電気工事業です。

LAN配線のみ行っている

電気通信工事業に該当し、電気工事業の許可は不要です。


4.どちらを取るか判断するポイント

結局のところ、「自社がどのような工事を今後主に行うか」から判断するのが最も確実です。

【電気工事業】を取得すべき業者

  • 動力や電力設備に関わる工事が中心
  • LED工事・照明設備の工事を受注している
  • 太陽光・蓄電池設備の電気部分を扱っている
  • 受変電設備・分電盤工事などを行う

【電気通信工事業】を取得すべき業者

  • LAN工事・ネットワーク設備が主力
  • 防犯カメラ、放送設備など弱電工事が中心
  • 通信機器・IT機器のセットアップが多い

【両方取得した方が良い業者】

  • 防犯カメラ工事をワンストップで受ける
  • 太陽光・蓄電池設備を一式で請け負う
  • 店舗・工場の新設に伴う電気+通信の両方を扱う

5.経験年数で営業所専任技術者の要件を満たす場合は特に要注意

建設業許可の営業所専任技術者は

  • 実務経験 10年以上
  • 又は一定の資格保有

のいずれかで要件を満たせます。

実務経験で要件を満たす場合、その経験が“電気工事”なのか“通信工事”なのかが明確でないと、許可申請が通らないケースがあります。

そのため、

  • 経験がどちらに該当するのか
  • 工事内容の証明書類をどのように揃えるか
  • 発注者からの証明をどのように取得するか

これらは申請時に非常に重要なポイントとなります。

どちらの許可を選ぶかが、専任技術者としての経験が使えるかどうかにも直結するため、特に慎重な判断が必要です。

また、経験年数はどちらかの許可で使うと他方の許可では使えないのでその点も注意が必要です。(例:両方の工事の要素を含む実務経験のみで申請で両方の許可要件を一度に満たすには20年以上の実務経験が必要)


6.少額工事なら附帯工事で対応できる場合もある

建設業許可には、「附帯工事」という考え方があります。

例えば、

  • 主たる工事が電気工事で、通信配線がごく一部
  • 主たる工事が通信工事で、電源供給が少額

という場合には、主たる工事に附帯する範囲であれば、別の業種許可がなくても施工できる場合があります。

ただし、この判断はケースバイケースであり、金額割合・工事の内容・元請からの指示内容など複数の要素を考慮する必要があります。


まとめ:どちらの許可を取るか迷ったら専門家に相談を

電気工事業と電気通信工事業は、「電気を扱うのか」「情報を扱うのか」で大きく分かれますが、実務では両者が混在する工事が多く、判断が難しいケースが多々あります。また、

  • 今後の受注案件の方向性
  • 専任技術者の経験内容
  • 附帯工事の考え方
  • 許可取得後の事業展開

これらを総合的に見ないと、最適な許可業種を判断をするのは困難です。当事務所では、建設業許可を専門に多数の案件をサポートしており、「電気と通信どちらが良いか分からない」という段階からご相談いただくケースが非常に多く微妙な場合は管轄行政庁への確認も行っています。

自社にとって最適な許可区分を確認したい方や、専任技術者要件が満たせるか不安な方は、どうぞお気軽にご連絡ください。初回相談は無料で対応しております。

御社の事業内容を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な許可取得の方向性をご提案いたします。