2025年12月、国土交通省は建設技能者の処遇改善に積極的に取り組む事業者を可視化し、サプライチェーンの中で適切に評価される仕組みとして「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」を開始しました。申請受付は2025年12月12日から専用ポータルでスタートしています(制度のシンボルマーク・愛称「職人いきいき宣言」も公表済み)。

この制度は、①適正な労務費の確保と賃金の支払い、②建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用、③宣言企業同士の優先取引などを企業が自ら宣言し、国がポータル上で公表することで、受注機会の確保人材確保の好循環を生み出すことを目的としています。


制度に参加するメリット

  • ロゴ(シンボルマーク)と愛称の使用
    宣言企業は公式ロゴと「職人いきいき宣言」を自社サイトや募集要項、現場掲示等で使用可能。対外的な取組PRに直結します。
  • 宣言企業一覧の公表
    国のポータルに企業名と宣言内容が掲載され、発注者・元請・協力会社・求職者に対して「技能者を大切にする企業」であることを可視化できます。
  • 優先取引の促進
    取引先選定において宣言企業を優先的に考慮することが制度の必須項目。受注機会の確保につながる設計です。
  • (将来)経審での加点
    経営事項審査のW点(その他審査項目・社会性等)で、宣言企業に+5点を付与する改正方針が示され、2026年夏ごろ施行予定と報じられています(詳細後述)。

だれが対象?宣言内容のポイント

制度は発注者/元請/下請/一人親方までを広く対象とし、それぞれの立場から取り組みを宣言します。必須項目の骨子は概ね次のとおりです。

  1. 労務費の確保・賃金支払い
    標準労務費の趣旨を踏まえ、労務費や材料費等を内訳明示した見積書を作成・提示。元請・発注者は提出された見積の内容の考慮・尊重を宣言します。
  2. CCUSの活用
    元請は就業履歴の蓄積が可能な現場環境の整備、雇用企業は全技能者の詳細型登録を必須とするなど、能力評価と就業履歴の「見える化」を前提に処遇改善を図ります。→ 近年の大きな流れであるCCUSの活用をさらに推し進めようという強い意志が感じられます。
  3. 宣言企業との優先取引
    取引先の選定にあたり、同じく宣言している企業を優先的に考慮します。

なお、生産性向上・外国人活躍・自社独自の取組(週休2日化、月給制、技能レベル別手当 等)は任意項目として積極的に記載することが推奨されています。


申請方法(実務の流れ)

  1. ポータルでアカウント作成・申請
    公式サイトから「宣言書」を提出します。宣言日取組開始日(誓約含む)を記載し、ロゴ使用ガイドラインを遵守します。
  2. 社内ルールと書式の整備
    ・見積書の内訳明示(労務費・材料費・法定福利費)
    ・CCUSの詳細型登録の運用フロー
    ・宣言企業の優先選定ルール(仕入・外注選定基準に反映)
    これらを就業規則・取引基本契約・入札内訳書等に落とし込みます。
  3. PRと採用に活用
    自社サイト・求人票・現場掲示でロゴと宣言文を表示し、人材獲得と協力会社開拓に活用します。

経審(経営事項審査)との関係:将来的な加点の見込み

中央建設業審議会では、自主宣言の評価項目新設が示され、W点において宣言企業に+5点を付与する改正が2026年夏ごろ施行の見込みと報じられています。あわせて、既存の「CCUS就業履歴蓄積体制」評価の配点は5点分縮減する方向です。

要点を整理すると――

  • いつから加点される?
    「宣言日以降の審査基準日」に適用される運用が示されていますがまだ具体的な時期は決定していません(省令改正等を経て施行)。
  • どの項目に加点?
    経審のW点(社会性等)で+5点。災害対応の観点から「建設機械保有状況」など他項目の見直しも並行して進む予定です。
  • 前提となる書類・運用
    宣言書・誓約書の提出、内訳明示した見積書の作成・尊重CCUS詳細型登録等、制度の必須事項が実務で担保されていることが重要です。
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※上記は国交省の方針・業界紙報道に基づく最新情報です。最終的な適用は今後の省令改正・施行により確定します。


宣言の「中身」を強くする――実務で効く5つの施策

  1. 標準労務費に沿った内訳明示の徹底
    見積・入札内訳書に労務費・材料費・法定福利費を明確に記載し、下請見積の内容を尊重するルールを契約書面に反映。
  2. CCUSの“詳細型”一括運用
    雇用する全技能者の詳細型登録を社内標準に。現場では就業履歴の蓄積環境(カードリーダー/代行登録手順)を整備し、評価・賃金に連動。
  3. 技能レベル別の処遇テーブル整備
    技能レベルに応じた手当・基本賃金・資格手当・インセンティブをテーブル化し、週休2日・月給制の導入可能性を段階的に検討。
  4. 宣言企業の優先調達の仕組み化
    仕入・外注先の選定基準に「宣言企業であること」を加え、調達先チェックリストに組み込む。
  5. 採用・ブランディングにロゴを活用
    ロゴと愛称「職人いきいき宣言」をホームページ・名刺・求人票・会社案内・現場掲示に展開。若手・外国人材への訴求を強化。

よくある質問(FAQ)

Q1. うちは中小の下請。参加メリットはある?
あります。宣言企業同士の優先取引設計と、ポータルでの公表により、元請選定での信頼性向上・受注機会の拡大に寄与します。将来の経審W点+5も見込めます。

Q2. 申請はいつまで?
ポータルで随時受付。制度アナウンスは12/3、申請受付は12/12開始ですでに始まっています。競合他社との差別化のためには早期に宣言し、ロゴ活用・社内運用の定着を進めるのが得策です。

Q3. 経審の加点は確定?
方針は示されており、2026年夏ごろ施行予定(省令改正等を前提)。詳細は今後の官報・通達で確定します。


当事務所の支援

当事務所では、「社外経営企画室」として以下のご支援が可能です。

  • 宣言書作成・申請支援(ポータル登録/ロゴ使用ガイドライン遵守)
  • 見積・契約ひな形の整備(内訳明示、下請見積尊重条項、優先取引規程)
  • CCUS運用の定着支援(詳細型登録フロー、現場就業履歴蓄積環境の構築)
  • 外国人雇用の伴走支援(在留資格/就労管理/日本語教育と評価連動)
  • 経審対策(W点の実務運用、施行時期に合わせた申請スケジュール設計)

初回相談は無料です。リーズナブルな顧問契約で宣言書のたたき台(御社の現行ルールと齟齬がないか)を当方で作成します。見積・契約・人事制度・CCUS運用を“宣言に適合する形”へ短期でドレスアップしてみませんか。