—建設業で外国人を雇うなら知っておきたい最新情報—

はじめに:技能実習は終わり、次は「育成就労」

今まで外国人の方に建設現場で働いてもらう制度といえば、技能実習制度が中心でした。しかし、この制度は2027年までに廃止され、代わりに育成就労制度が始まります。理由は、

  • 技能実習は「人材育成」が目的なのに、実際は「安い労働力」になっていた
  • 転職ができないなど、働く人に不利な仕組みが多かった

新しい制度は、人材育成+働きやすさ+企業の人手不足解消を目指しています。この記事では、

  • 技能実習生を受け入れる条件
  • 育成就労制度との違い
  • 建設業で準備すべきこと

をわかりやすく説明します。


1. 技能実習生を受け入れるための条件(現行制度)

技能実習は「外国人に日本の技術を教える」ことが目的です。そのため、ただ働かせるだけではダメです。受け入れる会社には条件があります。

① 技能実習計画の作成

  • 「どんな技術を教えるか」「どんな作業をするか」を計画書にまとめる
  • この計画を外国人技能実習機構(OTIT)に申請して認定を受ける

② 監理団体との契約

  • 技能実習生は、会社が直接採用するのではなく、監理団体(組合)を通して受け入れる
  • 監理団体が、書類管理や生活サポートを担当

※直接採用をする

③ 受け入れ人数の制限

  • 常勤職員の数に応じて、受け入れできる人数が決まる 【例】職員40人なら技能実習生は4人まで

④ 技能実習責任者・指導員の配置

  • 技能実習責任者:制度全体の管理
  • 技能実習指導員:現場で教える人
  • どちらも講習を受ける必要あり

⑤ 適正な労働条件

  • 労働基準法を守る(残業代、休憩、休日)
  • 最低賃金以上の給料
  • 社会保険への加入
Warning

ポイント:技能実習は「教えること」が目的なので、教育計画と指導体制が必須です。


2. 技能実習の問題点(なぜ廃止?)

  • 転職できない実習先を変えられないので、パワハラや低賃金でも我慢するしかない
  • 人材育成より労働力確保:現場では「人手不足対策」になっていた
  • 不正が多い:賃金未払い、長時間労働、失踪など

こうした問題を解決するために、育成就労制度が始まります。


3. 新制度「育成就労」とは?

育成就労は、技能実習の代わりになる新しい仕組みです。目的は「外国人を育てて、長く働いてもらうこと」。特徴は次のとおりです。

① 転職が可能になる

  • 一定の条件を満たせば、同じ業種内で転職OK
  • ブラック企業に縛られない仕組み

② 受け入れ業種は限定

  • 建設業、製造業、介護など、人手不足が深刻な業種
  • 建設業は引き続き対象

③ 受け入れ条件は「教育+労務管理」

  • 技能実習と同じく、教育計画が必要
  • 労働条件は日本人と同じ基準
  • 社会保険加入は必須

④ 在留期間は3年

  • 技能実習の最長ケースより短い
  • その後、特定技能や最終的には永住への道も開ける

ポイント:育成就労は「人材育成+定着」が目的。
会社にとっては、長く働いてもらえるチャンスです。


4. 技能実習と育成就労の違い(比較表)

項目技能実習育成就労
目的技術を教える(母国で活かす)技術を教えて、長く働いてもらう
転職原則不可条件付きで可能
在留期間最長5年最長3年(その後特定技能へ)
受け入れ方法監理団体または企業直接(主に大企業)監理支援機関または企業直接(主に大企業)
教育計画必須必須
労働条件日本人と同じ日本人と同じ
社会保険必須必須

まとめ:育成就労は、技能実習の問題点を改善した制度
「人手不足対策」だけでなく、人材育成と定着がポイントです。


5. 建設業で準備すべきこと

技能実習から育成就労に移行する前に、会社で準備しておくことがあります。

① 教育体制の整備

  • 現場で教える人を決める(指導員)
  • 教える内容を紙にまとめる(型枠、鉄筋、足場など)
  • 写真や動画でわかりやすくする

② 労務管理の見直し・再点検

  • 勤務時間、残業、休日のルールを整理
  • 給料の計算方法を明確に(残業代、手当)
  • 社会保険の加入を確認

③ コミュニケーションの工夫

  • やさしい日本語で指示
  • 翻訳アプリや写真を活用
  • 相談窓口を決める

④ ビザ管理の仕組み

  • 在留カードのコピー保管
  • 期限管理(満了6か月前にアラート)
  • 更新書類の準備

6. よくある質問(FAQ)

Q:技能実習はいつまで?
A:2027年までに廃止予定。それまでに育成就労へ移行します。

Q:育成就労は誰でも受け入れできる?
A:条件あり。教育計画、労務管理、社会保険加入が必須です。

Q:監理支援機関は必要?
A:当面は必要。ただし、企業が直接関与する単独型も可能になる見込みです。(ただし、大企業向け)


まとめ:今から準備すればスムーズに移行できる

  • 技能実習は終わる。次は育成就労
  • 新制度は「教育+定着」がポイント
  • 建設業は引き続き対象。人手不足対策に有効
  • 今から教育体制・労務管理・ビザ管理を整えておくと安心

当事務所では大学時代に異文化間コミュニケーションを専攻、20ヶ国以上の海外グループ拠点を持つ商社を退職し、現在は地元の国際交流協会で日本語ボランティアとして長年外国人と接している行政書士が貴社の社外経営企画室として就労ビザ、在留資格を中心とした外国人雇用に関するご支援をいたします。初回相談は無料ですのでお気軽にお問合せください。

【ご注意】当ホームページの内容は、建設業法や出入国管理に関する法令等に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件に対する法的判断を示すものではありません。実際の許可要否や手続きについては、管轄行政庁に確認するか、当事務所までお問い合わせください。

【続きはこちらで】

⑪特定技能試験の概要-建設業で外国人を採用するなら知っておきたい「試験の仕組み」-

はじめに:特定技能って何? 外国人の方に建設現場で働いてもらう方法(就労ビザ、在留資格)として、特定技能制度があります。これは、技能実習より自由度が高く、長く働ける制度です。特定技能で働くためには、試験に合格することが条 […]