電気通信工事業の建設業許可を取得する際、最大の分岐点になりやすいのが「専任技術者(営業所に置く技術者)」の要件です。

電気通信工事は、通信インフラ・ネットワーク・放送設備など幅広い領域をカバーするため、「どの資格が使えるか」「実務経験として認められる範囲はどこまでか」を早い段階で整理することが重要です。

本記事では、電気通信工事業における専任技術者要件を、①資格/②学歴+実務経験/③実務経験のみの3ルートで整理し、一般建設業・特定建設業の違い、注意点までまとめます。


1. そもそも「電気通信工事」とは(実務経験の前提)

電気通信工事業に該当する工事の例として、有線電気通信設備・無線電気通信設備・データ通信設備・情報処理/収集/表示設備・放送機械設備・TV電波障害防除設備などが挙げられます。

また、すでに設置された電気通信設備の改修・修繕・補修は「電気通信工事」に該当し得る一方で、点検や整備などの保守(役務提供)は「工事」に該当しない整理が示されています。

この線引きは、後述する 「実務経験としてカウントできるか」に直結するため、請負契約書や請求書の工事名・内容を「電気通信工事」と説明できる形で残しておくことが大切です。


2. 専任技術者になる3つのルート(一般建設業)

電気通信工事業の専任技術者は、次のいずれかで要件を満たすことができます。

ルート①:国家資格等で満たす(最も証明がしやすい)

代表的なものは次のとおりです。 かっこ内の”一般”は一般建設業の取得に、”特定”は特定建設業の取得の場合に必要となることを示しています。

  • 1級電気通信工事施工管理技士(一般・特定)
  • 2級電気通信工事施工管理技士(一般)
  • 技術士(電気電子部門)/総合技術監理(電気電子)(一般・特定)
  • 電気通信主任技術者+資格者証交付後5年の実務経験(一般)
  • 工事担任者(総合通信/第一級アナログ通信+第一級デジタル通信)+実務経験3年以上(一般)

ルート②:指定学科+実務経験(学歴が活きるルート)

電気通信工事に関する指定学科を卒業している場合、必要実務経験が短縮されます。

  • 大学・短大・高専(指定学科)卒:卒業後 3年以上の実務経験
  • 高校・中等教育学校(指定学科)卒:卒業後 5年以上の実務経験

指定学科の例として、電気工学電気通信工学が挙げられています。学科名が完全一致しない場合でも、履修科目や単位証明で判断されることもあります。(要事前相談)

ルート③:実務経験のみ(原則10年)

資格や指定学科がない場合でも、電気通信工事について 10年以上(120か月)の実務経験を証明できれば要件を満たす。
ただしこのルートは、10年分の経験を客観資料で立証する負担が大きいため、証明資料の整備が実務上の最大の山場になります。


3. 特定建設業の場合:専任技術者要件はどう変わる?

特定建設業は、一般よりも高度な技術力(原則1級相当)を求める整理がされます。
電気通信工事業でも、1級電気通信工事施工管理技士や技術士(電気電子)が国家資格保有ルートで特定建設業に対応する代表例として挙げられます。

一方で、実務経験で特定の専任技術者要件を満たす方法として、「一般建設業の専任技術者要件+元請で一定規模の工事について2年以上の指導監督的実務経験」で満たす方法もあります。
そのため、2級電気通信工事施工管理技士の有資格者でも「指導監督的実務経験」を組み合わせることで特定建設業の専任技術者にすることができます。


4. 【重要】工事担任者が「専任技術者」要件に使えるケース(令和6年度以降の実務で要注意)

電気通信工事業では、一定の工事担任者資格が 「資格+実務経験」ルートとして追加されました。
対象として挙げられるのは、総合通信または 第一級アナログ通信+第一級デジタル通信などで、資格者証交付後3年以上の実務経験が必要となっています。

工事担任者資格は、利用者設備(端末設備等)を電気通信回線に接続する工事を行う、監督するための資格として位置づけられ、資格区分(第一級アナログ通信、第一級デジタル通信、総合通信等)や制度改正(AI/DD総合種→総合通信等)が該当するものとされています。

Success

実務上の注意:工事担任者資格で申請する場合、「いつ合格・交付を受けたか」「どの区分か」「交付後3年の実務経験をどう立証するか」が論点になりやすいので、社内の資格者証コピーと経歴の紐づけを早めに行っておきましょう。


5. 実務経験の「証明」でつまずかないための実務ポイント

実務経験で申請する場合(学歴短縮・10年ルート・工事担任者ルートを含む)は、“電気通信工事に従事していたこと”を客観資料で示す必要があります。
一般的に、契約書・注文書・請求書などの工事資料で実績を積み上げて証明します。

また、電気通信工事業は「工事」と「保守(役務)」の境界が争点になりやすいため、工事名だけでなく、設置・改修・補修など“工事性”が分かる記載を残しておくと後で証明しやすくなります。


6. まとめ(ここだけ押さえれば判断しやすい)

電気通信工事業の専任技術者要件は、次の順で検討すると理解しやすいです。

  1. 1級電気通信工事施工管理技士/技術士(電気電子)など、国家資格の取得でクリアできるか
  2. 指定学科卒(電気・電気通信系)+3年/5年でクリアできるか
  3. 実務経験10年を資料で証明できるか
  4. 工事担任者資格を使うなら、区分・交付日・交付後3年実務を満たすか

専任技術者の判断は 申請先(知事/大臣、都道府県ごとの運用)で必要資料や見方が変わることがあるため、早めに確認作業をすすめることをお勧めします。

専任技術者離脱リスク「見える化」サポート

「専任技術者がいなくなったらどうなるか」会社として整理できていますか?

建設業許可における専任技術者は、 要件を満たす「人」がいることで、 はじめて工事を請け負える仕組みになっています。にもかかわらず、実務では――

  • 誰がどの業種の専任技術者なのか
  • その人が抜けた場合、何が止まるのか
  • 代わりになる人材はいるのか

が、会社として経営幹部、人事部門、現場メンバーとの共有がされていないケースが少なくありません。その結果、

  • 突然の退職・長期休職
  • 高齢化による継続困難
  • 採用しても要件を満たすまでに年数がかかる

といったタイミングで、

専任技術者がいない → 工事ができない → 売上減少 → 現金が無くなる(事業停止)

という事態に進んでいくことに、初めて気づくことになります。本サービスは、 現在の専任技術者体制を整理・見える化し、このリスクを社内共有することで

  • 「誰かが辞めたら止まる」状態を会社として把握・説明できる状態にする
  • 人事部門が有資格者を”建設業の主たる営業所”から転勤させ、退職を招くような不用意な人事異動を防ぐ
  • 人事部門に採用にあたり指定学科の学生や有資格者を優先してもらう(例:文系大学や普通科高校より工科高校にアプローチ)
  • 現場の上司やメンバーに有資格者を大事にさせる(ハラスメントによる離職防止

ことを目的としたサポートです。


このサービスで行うこと

1. 専任技術者リストの作成(現状整理)

まず、現在の体制を整理します。

  • 専任技術者となっている人、なれる可能性がある人
  • 対応している業種
  • 要件区分(学歴・資格・実務経験)
  • 経験年数・年齢層

を一覧化し、 「今は誰で回っているのか」を可視化します。

※ 個人名を伏せた整理も可能です

2. 体制リスクの見える化(ここが核心)

次に、以下の点を整理します。

  • その人が抜けた場合に
    • どの業種の許可が維持できないか
    • どの工事が止まる可能性があるか
  • 代替候補が
    • すでにいるのか
    • いないのか
    • 育成に何年かかるのか

これにより、

  • 今は回っているが、実は偶然
  • 特定の人に依存している業種

といった、 属人化リスクが明確になります

3. 今後に向けた体制・採用の考え方整理

本サービスでは、 採用や人事の実行支援は行いません。その代わり、

  • 今後も維持すべき業種
  • 人を育てて対応できる業種
  • 外注・業種整理も含めて検討すべき業種

といった、 経営判断や今後の人事戦略の材料を整理します。「どうするか」を決める前の、 判断の土台づくりが目的です。


このサービスが向いている会社

  • 建設業許可を維持・拡大していきたい
  • 専任技術者が特定の人に偏っている
  • 高齢の専任技術者がいる
  • 採用が簡単ではないと感じている
  • 事務担当者が要件は理解しているが、決定権はない

※ 専任技術者の紹介・派遣を目的としたサービスではありません


成果物のイメージ

  • 専任技術者リスト(現状整理)
  • 業種別・体制リスク整理表
  • 社内共有用メモ(判断ポイント・注意点)

👉 経営層や管理者層の方が一目で理解でき、事業の方向性判断に使える資料として社内に残り、次年度以降も使える資料です。(ISO、BCP:事業継続計画、内部監査、内部統制等の観点からも有効です)


よくあるご質問

お金を出して、わざわざ外部の第三者にやってもらうほどのことではないのでは?

そのように感じられるのはごもっともです。 実際、整理そのものは社内の人員できる内容です。ただ、多くの会社で進んでいない理由は、能力や知識ではなく切迫感と優先順位そしてマンパワー不足にあります。

  • 日常業務では特に困っていない
  • 誰かが困るのは「将来の話」
  • 自分が担当者の間は問題にならない
  • この整理をするだけの人員の余裕が無い(残業もさせにくい)

こうした状態では、どうしても後回しになりがちです。ここであえて外部の第三者、しかも有料で関与させることで、

  • 「一度、ここできちんと整理しよう」という社内の合意ができる
  • 今まで先送りされていたことが具体的に前に進む

という効果が生まれます。また、第三者が入ることで、

  • 誰が悪いか、ではなく
  • 会社としてどうなっているか

という視点で整理ができます。社内の人間同士では言い出しにくいことや、 立場上整理しにくい論点も、 利害関係のない第三者であれば調整しやすいというメリットがあります。さらに、本サービスでは 単なる制度説明や書類指摘ではなく、

  • 企業内でのリスク管理実務の経験
  • 行政書士としての制度運用視点

この両方を踏まえて整理を行います。「やろうと思えば自社でもできてるはずが、 今までやってなかったのはなぜだろう?」そう感じている場合にこそ、 第三者を入れる意味があるとお考えください。

※この記事を見た今がその絶好の機会です。

専任技術者要件の説明だけしてもらえますか?

要件解説のみのサービスではありません。自社の体制や状況に当てはめた整理を行うことを目的としています。

今すぐ問題がなくても依頼する意味はありますか?

はい。  多くの会社は問題が起きてから初めて深刻さに気づきます。むしろ起きる前に整理しておくことで、選択肢が広がり早期に手を打つことができます。特に、人手不足が深刻化する一方ですので早急に着手することをお勧めします。


採用計画まで立ててもらえますか?

採用の実行支援は行いませんが、どの業種・どの要件がボトルネックかを整理することで、採用・育成を検討するための材料を提供いたします。

料金の考え方

本サービスは、

  • 書類作成代行ではなく
  • 人に紐づく許可リスクの整理・見える化

を行うものです。業種数・体制の複雑さにより異なりますが、 5〜10万円台が中心です。


お問い合わせ(営業目的の連絡は行いません)

「いきなり何かを決めるため」ではなく、

  • 今の体制は安全なのか
  • どこが一番リスクなのか

を整理するためのサービスです。「やらなきゃいけない」と思っていてもなかなか自社だけでは手を付けられなかった事業停止につながる大きなリスクの種、専門家と一緒にこのタイミングで整理してみませんか? 初回web相談は無料です。

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    ・このフォームの送信により、契約や依頼が発生することはありません。
    ・ご入力いただいた情報は、メールでのご連絡以外の目的では使用しません。
    ・送信後の自動返信メールが届かない場合があります。送信2営業日経っても返信が無い場合は大変お手数ですがお電話(0566-70-7195)でお問合せください。
    ・確認画面は表示されません。上記内容にて送信しますがよろしいですか?(必須)
    はい

    ※ 状況整理が目的のご相談です ※ 無理な営業は行っていません


    本サービスは、現時点の法令解釈・運用を前提に、 専任技術者体制の整理を行うものです。 将来の法令改正や運用変更により、 判断が変わる可能性がある点をご理解ください。

    投稿者プロフィール

    古井 竜文(たつのり)
    古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
    自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。