経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に必要な手続きですが、「どれくらい費用がかかるの?」という質問をよく受けます。実は、経審には申請手数料だけでなく、資格取得や財務改善、各種認定取得などの間接コスト専門家(行政書士)への依頼費用もあります。
この記事では、経審の取得・維持にかかる費用の内訳を愛知県の場合の例も挙げながら行政書士がわかりやすく解説します。

1. 経審にかかる費用の全体像

経審の費用は、大きく分けて次の5つです。※印は自社のみで取り組んだ場合も必ずかかる費用です。

  • 申請手数料
  • 経営状況分析の費用
  • 技能職員の資格取得費用
  • ISO・CCUS・WLB認定関連費用
  • 行政書士に依頼する場合の費用

申請手数料

都道府県に提出する経審申請には手数料がかかります。 目安は以下の通りです。

  • 経審申請手数料:約12,000円~18,000円(審査を希望する業種数により変動)
  • 入札参加資格申請(指名願):数千円~1万円程度 ※自治体によって異なるので確認が必要。

②経営状況分析(Y点取得のため)の費用

登録機関で経営状況分析を受ける費用。 目安は以下の通りです。

  • 約11,000円~13,000円(1回、どこの分析機関に依頼するかで変動) ※毎年必要。

③技術者資格取得にかかる費用

資格取得はZ点の加点に直結しますが、費用もかかります。

(例)

  • 1級施工管理技士:約3万円(受験料)
  • 2級施工管理技士:約2万円(受験料)

取得のための講座費用を会社が負担したり、資格取得のための支援金・報奨金を支給する場合はその分が追加になります。

④ISO認証・CCUS登録・WLB認定の費用

費用対効果があまり高くないですが、一応目安として記載します。ワークライフバランス(WLB)関連のくるみん、えるぼし、ユースエールの各認定自体の費用はかかりませんが取得のためのコンサルティングを利用した場合はその費用が掛かります。

  • ISO9001:約50万~150万円(初回)+維持費
  • ISO14001:約50万~150万円(初回)+維持費
  • CCUS登録 会社登録:約6,000円 技能者登録:1人あたり約2,500円 ※元請の場合は利用料と機器設置費用も
  • WLB認定取得コンサルティング:約16万円~40万円

行政書士に依頼する場合の費用

経審申請を行政書士に依頼すると、書類作成・提出・スケジュール管理まで任せられるため、ミス防止や時間の節約につながります。
費用は事務所や地域によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。

  • 経審申請代行
    50,000円~100,000円程度(会社規模や業種による)
  • 入札参加資格申請(指名願)代行
    20,000円~50,000円程度

費用に含まれるサービス例

  • 必要書類のチェックと作成
  • 経営状況分析の申請代行
  • 工事経歴書の記載サポート

2. 具体的な費用シミュレーション

初めて経審を受ける場合の費用シミュレーション

経営事項審査にかかる費用は、許可区分や申請業種数によって異なります。ここでは、愛知県の知事許可業者が初めて経審を受審するケースを例に考えてみます。

シミュレーション事例

A社(愛知県知事許可・売上高3億円・申請業種2業種)の場合

項目概算費用
経営状況分析申請料約13,000円
経営規模等評価申請手数料約20,000円~30,000円
行政書士報酬100,000円~200,000円程度
合計約133,000円~243,000円程度

※実際の費用は申請業種数や自治体によって異なります。

経審は一度受ければ終わりではありません。公共工事への参加を継続する場合は、毎年の決算変更届とあわせて継続的な手続きが必要になります。

毎年の維持費用の目安

経審を維持して公共工事の入札参加資格を継続する場合の費用イメージは次のとおりです。

項目年間費用の目安
事業年度終了届(愛知県の場合)行政書士報酬等
経営状況分析約13,000円
経営事項審査申請業種数による
入札参加資格申請自治体数による
合計数万円~数十万円

複数の自治体や発注機関へ入札参加する企業ほど、継続的な管理コストは大きくなります。

3. 経審を自社で行う場合に見落としがちなコスト

「行政書士に依頼しなければ費用を大幅に節約できる」と考える事業者様も多くいらっしゃいます。確かに行政書士報酬は不要になりますが、実際には見えにくいコストが発生することがあります。例えば、

  • 決算書の内容確認
  • 技術職員の資格証明書の収集
  • CPDやCCUSの確認
  • 社会保険加入状況のチェック
  • 行政窓口とのやり取り

などの作業は想像以上に時間がかかります。特に総務担当者や経理担当者が兼任で対応している中小建設業では、本来の業務が止まってしまうこともあります。一見すると行政書士報酬を節約できたように見えても、残業代の支払いなどの人件費の増加や営業活動が停滞してしまう損失まで考慮すると必ずしも安くなるとは限りません。

本当に重要なのは「費用」ではなく「点数」

経審では申請手続きそのものだけではなく、評価項目をどこまで適切に整理できるかが重要です。例えば、

  • 技術者資格の見落とし
  • CPD単位の反映漏れ
  • 建設キャリアアップシステムの活用漏れ
  • 完成工事高の業種振分けミス

などがあると、本来取得できるはずだった点数を取りこぼしてしまう可能性があります。

まとめ:費用を投資と考えて計画的に

私は以前、建設業許可(機械器具設置工事業、管工事業、電気工事業、とび・土工工事業)を保有する工作機械商社の管理部門に勤務していました。経審の費用だけを見ると負担に感じるかもしれません。しかし実際には、

  • 官公庁案件への参入
  • 元請企業からの信用向上
  • 公共工事の受注機会確保

といったメリットを考えると、経審の費用は営業活動の一環として考えることもできます。特に設備工事関連の企業では、一件の受注金額が数千万円規模になることも珍しくありません。そのため「経審にいくらかかったか」ではなく、「経審によってどのような受注機会を得られるか」という視点で費用対効果を考えることが重要です。

経審費用について不安がある方はご相談ください

経営事項審査にかかる費用は、申請業種数や会社の状況によって大きく異なります。

「自社の場合はいくらくらいかかるのか知りたい」
「行政書士に依頼した場合の費用を確認したい」
「そもそも経審を受けるべきかどうか相談したい」

このような場合は、お気軽にご相談ください。当事務所では、経営事項審査に関するご相談や費用のお見積りを無料で行っております。建設業許可や事業年度終了届、入札参加資格申請まで含めてご案内できますので、まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

【続きはこちらで】

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投稿者プロフィール

古井 竜文(たつのり)
古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。