はじめに

建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負うために必要な制度であり、社会的信用や受注機会の拡大につながるメリットがあります。しかし、許可を取得することには当然ながらデメリットや注意点も存在します。この記事では、建設業許可取得に伴う主なデメリットを詳しく解説し、申請前に検討すべきポイントを整理します。

【デメリット1】申請・維持にかかるコストと手間

建設業許可の取得には、以下のような費用と手続きの負担が発生します。

  • 行政手数料(知事許可:約9万円、国土交通大臣許可:約15万円)
  • 書類作成・証明書取得のための実費
  • 行政書士など専門家への依頼費用(数万円〜十数万円)
  • 更新(5年ごと)や変更届の提出義務

さらに、2025年の法改正により、電子申請の義務化や様式変更が進んでおり、社内体制の見直しやデジタル対応が求められるケースも増えています 

【デメリット2】許可取得後の法令遵守義務の強化

許可業者となることで、以下のような法令遵守義務が課されます。

  • 技術者の配置要件(専任技術者・監理技術者など)
  • 工事金額に応じた施工体制台帳の作成義務
  • 労務費や賃金の適正化(2025年改正で基準が明確化)
  • 原価割れ契約の禁止
  • 労働時間の上限規制(残業月45時間・年360時間)

これらの義務を怠ると、営業停止や許可取消のリスクが生じるため、コンプライアンス体制の整備が不可欠です 

【デメリット3】社内体制整備にかかるコストと対応力が問われる

建設業許可を取得すると、法令対応・契約書の見直し・技術者管理など、社内体制の整備が必要不可欠になります。これは単なる事務作業ではなく、企業の「経営品質」そのものが問われる領域です。

よくある課題

  • 契約書に資材価格変動条項が未記載
  • 技術者の資格・配置状況の記録が曖昧
  • 労務費の基準に基づいた見積もりが作成できない

これらの課題は、教育・マニュアル・業務フローの整備によって解決できますが、特に中小企業では「誰がやるのか」「どうやるのか」が不明確なまま放置されがちです。

営業的な視点での提案

社内体制の整備は「コスト」ではなく、営業力の強化策です。

  • 「許可を活かして体制を整えている企業」として信頼を獲得
  • 元請けや公共工事の発注者からの評価が高まり、受注機会が拡大
  • 社員教育を通じて、現場力・管理力・コンプライアンス力が向上

【デメリット4】競合他社との格差拡大の可能性

許可取得によって受注機会が広がる一方で、法令遵守や体制整備が不十分な企業は競争に遅れを取る可能性があります。

  • 許可を活用して営業展開する企業との差が拡大
  • 技術者不足による工事受注の制限
  • 許可維持のための継続的な投資が必要

特に2025年以降は、「良い業者に集約させる」政策が進んでおり、対応が遅れる企業は淘汰されるリスクもあります。

【まとめ】許可取得は「ゴール」ではなく「スタート」

建設業許可の取得は、事業の成長にとって重要なステップですが、制度の複雑化・法改正・維持コスト・社内体制の整備など、さまざまなデメリットも伴います。

許可取得を検討する際は、以下の点を意識しましょう。

  • 自社の工事規模や将来の受注計画に照らして必要性を判断
  • 最新の法改正情報を把握し、専門家に相談する
  • 許可取得後の体制整備・教育・契約書見直しを計画的に進める

当事務所では、建設業許可の申請代行だけでなく、許可取得後の社内体制整備までを見据えたサポートを行っています。

  • 契約書の見直しや法令対応のアドバイス
  • 技術者配置や施工体制台帳の整備支援
  • 社内教育資料の作成や研修の企画

前職でリスクマネジメントや法務・建設業教育に携わってきた経験を活かし、実務に即したアドバイスと現場目線の支援を提供します。

「許可を取った後こそが本番」です。制度対応に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

古井 竜文(たつのり)
古井 竜文(たつのり)(株)MTM / MTM行政書士事務所 代表
自動車グループ系総合商社を親会社とする機械商社(建設業許可保有)でのリスク管理・法令遵守体制構築の経験を活かし、行政書士として建設業許可の手続から関連法令対応のご相談、契約書の作成・審査、経審対策まで対応しています。